副業の必要性が声高に言われ始めている現在、思い切って独立/起業まで考えている人も増えてきているのではないでしょうか。
また、身近に自営業の人がいなくてその生態に興味があるけど知ることができない人も少なからずいるでしょう。
本記事ではサラリーマンと自営業のメリットデメリットを整理するとともに、新人経営者であるなめくじが1年経営してみて感じたことや思ったことを紹介します。
特に後者はかなり貴重だと思いますので、ぜひ話のタネに読んでみてください。
自分で言うなし
結論
- 自営業者(および家族従業者)は10%程度
- サラリーマンには、収入の安定性/社会保障/社会的信用度で有利
- 自営業は、収入の爆発力/働き方の自由/人生の主導権/節税で有利
- 自営業は楽しい
起業とは
起業とは「新しい事業を興すこと」です。
日本では起業をしている自営業者(および家族従業者)の割合は年々減っており、2021年時点ではおよそ10%程度に留まっています。
著者の起業に関しての紹介
著者であるなめくじは10年間医療系のサラリーマンをしており、そこを辞めた後の2021年に起業しました。
ジャンルは医療/サービス系、自己資金は500万円、融資5,000万円(15年返済)、実店舗有り、スタッフ2人雇用という形です。
起業して1年2ヶ月経った2022年4月現在は、月間売上で最高額の300万円に到達し更新中。
起業1年目の売上高は計2,200万円となっています。
サラリーマンと自営業者の違い
サラリーマンと自営業者にはいくつかの大きな違いが見られます。
収入の安定性
収入の安定性においては圧倒的にサラリーマンが優勢です。
トヨタ社長ですら「終身雇用を守るのは難しい」と言わざるを得ない現代ですが、それでも自営業者と比べると収入の安定性に優れています。
福利厚生に守られ休業しても大きな収入減少が起きないサラリーマンと比べ、自営業者は休んだ分だけ収入が削れます。
ブラック企業戦士並みに休むことに恐怖を覚えます
労働法という盾を装備したサラリーマンと比べると、自営業者は防具を何も持たず人生を冒険しているようなものです。
社会保障の違い
ご存知の通り、サラリーマンのほとんどは「厚生年金」と「健康保険」に加入しています。
対して自営業者は「国民年金」と「国民健康保険」に加入します。
厚生年金は労働者側から見ると圧倒的にコスパの良いシステムです。
そら会社が半分負担してるからコスパええわな
また、健康保険のほうが一般的に保険料が低くて広範囲に適応される傾向にあります。
社会保障という鎧を装備したサラリーマンと比べると、自営業者はパンツ1枚で人生を冒険しているようなものです。
社会的信用度
自営業者の多くは十分な売上と安定した収益性を社会に証明できません。
一方、歴史ある企業に勤めているサラリーマンは収入が大崩れしないことから大きな社会的信用を得られます。
このことは、多額を動かせるクレジットカードや各種ローンを利用する際に影響が出ます。
社会的信用という魔法も使えるサラリーマンと比べると、自営業者は肉弾戦で人生を冒険しているようなものです。
働き方の自由
休むと収入減少に直結するとはいえ、自営業者には働き方の自由があります。
サラリーマンは出社時間、曜日、勤務地、業務内容など自分の意志とは関係の無いところで束縛を受けます。
一方自営業者は全てが自分の決定で動けます。
極端な話、バカンスのため明日から1ヶ月休むことも可能です
ワークライフバランスの重要性が叫ばれる現在、働き方の自由という点では自営業者に軍配が上がります。
収入の爆発力
サラリーマンは到達できる収入レベルに限界があります。
極一部の企業では平均年収1,500万円越えしているところもありますが、ほとんどの会社ではそのような自分の努力に見合う昇給は得られません。
安定性と引き換えに失った部分やな
もし自営業者が事業に成功すれば、(かなり限られますが)億単位の収入すら視野に入ります。
少なくともサラリーマンのトップ層と勝負あるいは勝つほどの収入レベルには到達できます。
人生の主導権
サラリーマンは先述した働き方の自由も相まって、自分ではどうしようもできない人生の変化を受け入れなければいけません。
「家を建てた途端に単身赴任」などはまさにこの欠点の象徴です
つまり、人生の主導権の一部を誰かに預けていると言い換えられます。
その点では、自営業者は自分の人生を完全にコントロール下に置いていると言えます。
この違いは人生において極めて重要なシーンで出てきます。
節税対策
税負担は大きく、それを合法的に減らす節税対策は収入面において重要です。
しかし残念ながらサラリーマンでは、節税といっても「iDeCo」、「生命保険」、「住宅ローン」程度しか対策がありません。
ほぼノーガードで源泉徴収されています。
サラリーマンも実は給与所得控除を受けていますけどね
対して自営業では、仕事に関わる経費は広範囲に認められるためかなり節税が効きます。
もちろん経費として使ったお金が戻ってくる訳ではありませんが、所得を圧縮できるのは税制上非常に有利です。
起業して1年経って思うこと
なめくじが起業して執筆時点で1年2ヶ月が経過しています。
その中で感じたことや思ったことを紹介していきます。
メリット①:ストレスフリー/仕事が楽しい
なんといっても、自由でストレスフリーな働き方ができることが大きいと感じています。
ある程度は自分の好きなことを仕事にしている訳ですし、その中でも自分が選んだ業務に注力できます。
全ての責任を持つ代わりに大いなる自由を手にした。
そういった感覚を未だに感じます。
サラリーマン時代より間違いなく残業時間は減っています
残業するにしても稼ぎに直結するからモチベが違うしな
メリット②:様々なスキルや知識が手に入った
起業に関わる様々なスキルや知識が手に入ったのは、個人的に非常に大きいメリットです。
起業前から「お金や投資」、「リーダーシップ」を始めとする勉強はしていましたし、起業後もずっと他の勉強をし続けています。
このブログもですが、税法、社労、建築、デザインも新たに学んだ知識です
勉強の向き不向きもありますが、やはり人間自分ごとにならないと中々知識が身につきません。
その点、自営業をしていると必要に迫られてドンドンと勉強してレベルアップする自分が実感できます。
メリット③:時間の使い方が自由自在
サラリーマン時代は業務時間が決められていましたし、タスク管理がどうしても自分だけで完結しないためにイライラすることも多くありました。
一方自営業では全ての進捗が自分の管理下にあります。
ヘマしたら全部自分に返ってくるけどな!
「この日は早く帰りたい」とか「この時間には◯◯の作業をしたい」といったことはおおよそ叶えられます。
雑務や苦手なことはうまくスタッフに投げればやっておいてくれますしね
今の仕事に「なんでコイツのせいで自分まで残業食うんだよ」みたいな不満が強い人は、このメリットが一番大きく感じるのではないでしょうか。
メリット④:自分で稼いでいる実感がある
サラリーマンはどうしても組織の一員であり、その企業の看板を背負って仕事をしています。
そういう意味では案件を取れても「自分の成果」と認識しにくい仕事です。
一方自営業の場合は、自分の応対や判断、能力などが仕事の成果に100%直結するのでとても「仕事した感」があります。
仕事とは社会に貢献することですので、その実感を得られるというのは生きていく上での活力の一つとなります。
人によるだろうがな
みんな大なり小なりは自分の価値を社会的に承認されたいと思ってますよ
デメリット①:脳がかなり疲れる
自営業である以上、その仕事のトップは自分です。
経営面も含めた全ての判断を矢継ぎ早に下さなければいけません。
サラリーマン時代では業務内容にだけ集中すれば良かったですが、全然関係の無い部分に脳のリソースを使うので疲れるのは事実です。
今は慣れましたが、最初はストレスかかってましたね
今、組織の中で管理職や役員をしている人はこの疲れが理解しやすいかもしれません。
デメリット②:売上が低い日/月の精神的ダメージが大きい
売上は自分の稼ぎに直結するだけでなく、融資の返済や家賃支払いなど破産リスクを抱えた部分にまで最悪影響します。
当然そうならないように運転資金に余裕を持たせてはいますが、それでも売上が低い日が続くと凹みます。
売上低迷月では酒とタバコが増えました
ストレスフリーとはいったい…
なるべく精神的ダメージを低減するためには、日頃から余裕のあるキャッシュポジションと良質なキャッシュフロー確保が大事です。
デメリット③:人心掌握が難しい
自分1人だけで運営している場合は問題ありませんが、事業規模を大きくしようとすると人の雇用が不可欠です。
能力ある人間を見つけて雇用すること自体にもハードルはありますが、そのスタッフのパフォーマンスを維持するのもやはり難しいことです。
いくら能力があってもやる気なければ意味無いからな
うまくスタッフのパフォーマンスを上げるために、今まで培ってきた自分の人間性が試されているように感じます。
「人付き合いが苦手」とか「人からあまり信頼されたことがない」といった人には厳しい現実かもしれません。
デメリット④:休めない(休むことに恐怖がある)
働き方が自由であることをメリットの一つとして挙げましたが、逆に休んだ結果は全て自分と自分の事業に返ってきます。
例えばユーザー視点で考えると、ちょこちょこ臨時休業する店に行くにはその日の予定が立て辛いですよね。
そうなると自然と自分の店の選択順位が低くなりますので、それを覚悟の上で休業する必要があります。
また理由はどうあれ、休業したらその日の売上はゼロです。
しかし家賃などの固定費は1ヶ月丸々休もうが発生しますので、心理的に休みづらい側面は絶対にあります。
ワクチン後の発熱時に出勤した時は「仕事ってなんだろう」と思いました
最後に
いかがだったでしょうか。
実際に自営業を1年経験してみての感想を皆さんと共有してみました。
イメージ通りの部分や意外な部分もあったかと思います。
どの仕事にも楽しさやしんどさというものはあると思いますが、個人的には自営業をしてみて楽しさやメリットが大きいと感じています。
今サラリーマンか自営業の2択となっても100%自営業を選びます
もちろん人には向き不向きがありますので、必ずしも全ての人に勧められる訳ではありません。
ただ本記事の内容がこれから起業を考えている人の参考になったり、読んだ人に起業という選択肢が増えたら幸いです。
起業について興味が出た場合は下の記事も参考にしてくださいね。
では次の記事でお会いしましょう!
またな
コメント