※本記事は税務のことを全く知らなかったなめくじが、確定申告について調べたものをまとめた備忘録になります。情報には万全を期していますが、ご自身でもなるべく出典元を確認いただくようお願いします。また税法は随時法改正が行われますので、本記事の情報が最新であるかはご自身の責任で確認ください。
あなたは確定申告をしたことがあるでしょうか?
総務省の最新統計を見ると日本の労働者の約9割が役員以外の雇用者、つまり『サラリーマン』となっています。
確定申告が必須である自営業者と違い、サラリーマンは必ずしも確定申告を要さないことから確定申告についてちんぷんかんぷんの方が多いと思われます。
本記事では、確定申告をしなければいけないサラリーマンの特殊ケースについて解説していきます。
株の購入やふるさと納税の利用、副業を開始したことで「自分はサラリーマンだけど実は確定申告が必要なんじゃないの?」と不安になった方はぜひ最後までお読みください。
確定申告が必要なことに気づかずにスルーしてしまっていたら、最悪は脱税の罪に問われかねませんからね。
本記事の対象となる『サラリーマン』とは何者
まず本記事で扱う『サラリーマン』について定義していきます。
サラリーマンとは『サラリー=給料』を雇用主から得て生活する人間を指します。
会社勤め、勤め人と言い換えても大丈夫です。
自営業者やフリーランス、専業主婦・主夫、未就業の学生などは基本的に当てはまりません。
また年収103万円以下でいわゆる扶養に入っている方も対象外となります。
逆にサラリーマンには『アルバイト・パート社員・契約社員・非正規社員』など正社員以外の待遇の労働者も含まれます。
確定申告が必要なサラリーマンまとめ
- 年収2,000万円以上の高給取り
- 副業で年間20万円以上を稼いでいる
- ギャンブルや懸賞などで年間50万年以上を稼いでいる
- その他、株/不動産/住宅ローンなど本業以外でお金を動かしている
確定申告とは
解説を始める前に、まず「確定申告とはなんぞや」というのを把握していきましょう。
確定申告を正確に説明するのであれば以下の抜粋のようになります。
所得税及び復興特別所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税及び復興特別所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。
国税庁HPより
早速難しい…。
行政のHPは情報が正確な反面、誤解がないよう回りくどく書くせいで内容が理解しにくいんですよね。
分かりやすく解釈していきましょう。
確定申告っていうのは『実際に去年1年で稼いだお金』から正確な税金額を算出して、すでに源泉徴収されている課税額とのズレを生産する手続きのことを指します
ちなみに確定申告は毎年2月16日〜3月15日で、去年1月1日〜12月31日分の所得に対して行います。逆に言えば今年稼いでいるお金は来年に確定申告するっていうイメージです
サラリーマンが稼いだ給料のうち納める税額というのは、稼いだ端から『見込み額』で源泉徴収されています。
だから正確な税額を算出するためには、1年間稼ぎ終わってから集計しないといけないんですね。
その正確な集計をする便利な仕組みが『年末調整』なんですが、一部のケースでは年末調整ではなく確定申告をしなければいけない場合があります。
本記事では、その「確定申告が必要な一部のケース」がどういうものなのかという観点でまとめていく訳です。
さて、確定申告は『所得税』と『復興特別所得税』について行う事務作業になります。
そのうち、所得税は「稼いだ分に応じて引かれる税金」となんとなく理解ができますが、もう1つの復興特別所得税とはなんでしょうか?
これは『復興』と名の付く通り、東日本大震災からの復興施策をするための財源として徴収される期間限定の税金のことです。
源泉所得税を徴収する際、併せて源泉徴収される税です。 〜中略〜
源泉徴収される復興特別所得税の額は、源泉徴収される所得税の2.1%相当額とされています。
日本年金機構HPより抜粋
ちなみに令和19年(2037年)12月31日分までが徴収対象だから、令和20年(2038年)の確定申告まで発生します
復興特別所得税は所得税と違って税率が増減しませんので、シンプルに「しばらくは日本復興のために所得税が2.1%増税されてますよ」と考えればいいでしょう。
確定申告をしないといけないサラリーマン
確定申告を行う必要がある方については国税庁HPにて公表されています。
ただし、記載内容に関してはサラリーマンに限定した話では無いことに注意しましょう。
さてその国税庁によれば確定申告をしないといけない方は以下の1-4のケースに当てはまる場合です。
なめくじがさらにその他を補足して紹介していきますので、1つずつ見ていきましょう。
- 給与所得がある方
- 公的年金等に係る雑所得のみの方
- 退職所得がある方
- 1〜3以外の方
- その他
給与所得がある方
給与の年間収入が2,000万円を超える
外資系や大企業の幹部クラスなど(勝手なイメージ)高給取りの方は注意しましょう。
サラリーマンしてるだけなのに確定申告する必要があるなんて普通思わないですもんね。
ボーナスを高給取りに合わせて年間4ヶ月分と仮定すると、額面125万円以上の月給を稼いでいる場合は確定申告が必要な可能性が高いです。
給与を1ヶ所から受けていて、副業で年間20万円を超えて稼いだ
ここでの副業は給与所得(副業でのパートやアルバイト)以外にフリーランス(個人事業主)としての収入も含まれます。
つまり、1ヶ所の会社で給料を受け取っていながら副業としてパートをしていたり、フリーランスとして稼いでいるような方です。
昨今のFIREの流行や老後自己責任論が叫ばれるようになって副業を始めた方は多いのではないでしょうか。
副業を始めたらそれが会社公認にせよ内緒にせよ、いずれも確定申告が必要な可能性が高いです。
年間20万円という金額を考える時にパートやアルバイトでの給与所得では総支給額(額面)通りの計算でシンプルですが、フリーランスであれば「売上から経費を差し引いた収入」が申告対象となりますので注意してください。
説明だけでは分かりづらいので、同人サークルの活動を例に挙げてみましょう。
仮にサークル活動で年間30万円分の作品を売上げたとして、そのうち交通費やスタジオ代などで仮に20万円を経費として使用していれば収入は差し引き10万円となりますので確定申告は不要となります。
逆に22万円程度しか売上が無かったとしても経費で1万円しか計上できなかったら差引21万円で確定申告の対象となります。
経費の計算方法や何が経費に該当するかなどを説明するにはボリュームがありすぎますので、とりあえずこちらやこちらを参照ください。
また後ほど当ブログでまとめたらリンクを張っておきます。
ちなみに「自分は遊びの延長で結果的に稼いだだけで副業じゃないんだ」って理屈は税務署には通りませんからね
副業で確定申告が必要だったり確定申告を気にしなければいけないケースの例は以下が挙げられます。
もちろん、下記以外にもいっぱいありますからね!
- 同人活動で売上を出している
- アフィリエイトサイトを運営している
- Youtubeやnoteで収益化している
- クラウドワークスなどのアウトソーシング系サイトの内職で稼いでいる
- ウーバーイーツで副業している
- スキマ時間にキャバクラなど夜のお仕事をしている
- 特殊スキルを持っていて本業と関係の無い指導料や講演料をもらっている
ちなみに国税庁が発表している『申告漏れ』の業種ランキングでは1、2位が風俗関係になっています。
風俗関係では店に所属していても、従業員(パート・アルバイト)として扱われているか個人事業主・フリーランスとして扱われているかがあなたの認識と違う場合があります。
不安な方は今一度、店との契約書を確認しましょう。
一時所得が年間50万円以上発生した
一時所得とはその名の通り継続性のない、単発の稼ぎのことです。
例えばギャンブル(競馬・パチンコなど)での勝ち金もそれに該当し、儲けた額によっては確定申告の必要が出ます。
それ以外の一時所得もいくつかありますので国税庁HPをご覧ください。
ギャンブル以外でも任意の保険である生命保険などで満期になってお金が返ってきた場合も金額によっては確定申告の対象となりますので注意が必要です。
確定申告が不要な稼ぎには上限額がありますが、必要経費(※本記事便宜上の名称)によって上下します。
「年間50万円を超えて単発稼ぎが出たら確定申告が必要かもしれない」と覚えておくといいですね。
※宝くじは例外で、元々胴元の収益金が税金みたいな性質と見なされているため非課税であり確定申告は必要ありません。
一時所得で引っかかりやすい、しかも申告漏れしやすい項目は『ギャンブル(宝くじを除く)』と『生命保険などの返戻金』でしょうか」。懸賞が趣味でたくさんゲットしている人は総所得額にも注意です
iDeCoを運用しているケースの一部
iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用をしている方の一部のケースで、確定申告が必要になることがあります。
通常iDeCoの掛け金支払いは年末調整で対応できますが、控除申告書の出し忘れや開始時期が11月以降にズレ込んだなど何らかの事情があって年末調整できなかった場合は確定申告をする必要があります。
公的年金等に係る雑所得のみの方
ほぼ全てのサラリーマンにとって本項目は無視して構わないものになります。
公的年金とはすなわち国民年金と厚生年金のことです。
これらの合計受給金額が年間400万円を超える場合は確定申告が必要になります。
しかし年金の受給年齢は最速60歳であることから、サラリーマンをしながら年金を受給する方は相当限られると思います。
もし、このレアケースに該当しそうな方は念の為に『在職老齢年金』について調べてください。
一応計算すると、国民年金・厚生年金ともに満額回収できた場合のざっくり受給額は月20万円程度です。
公的年金の合計受給額が年間400万円を超えるケースは、受給額から逆算すると現役時に年収1500万円クラスで給料をもらっていた方です。
働き始めからいきなりこんな年収はほぼあり得ないでしょうから、実際にはおそらく最終年収2000万円オーバーの高給取りの方のみ確定申告の必要があるかもという程度です。
ただし、本項の趣旨からは外れますが公的年金以外の収入が年間20万円以上ある場合は、年金収入が年間400万円以下であっても確定申告する必要がありますので注意してください。
公的年金以外の収入とは、生命保険や共済などでの個人年金や給料、生命保険が満期になって返却される満期返戻金などです
シルバー人材で仕事をしている方や今まで生命保険類を積み立ててきた方は注意しましょう
iDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取りに関しては、3種類の受け取り方によって確定申告の要・不要の結果が変わる可能性がありますのでしっかりご自身で確認ください。
退職所得がある方
いわゆる『退職金』を受給した方は申告の必要があります。
ただし会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合は退職金からすでに源泉徴収されていますので、確定申告の必要はありません。
ほとんどの方は上記申告書を提出する(している)はずですが、もし提出せずに退職金を受け取った場合は確定申告をする必要があります。
1~3以外の方
給与以外の所得に色々と収入を得ている場合は、一定の控除額以上の収入であれば確定申告する必要があります。
色々な収入とは具体的に以下の通りです。
- 国債を始めとする公社債の利子(利益)
- 株式や投資信託などでの配当金
- 不動産経営での収入
- 山林所得(売却益)
- 特定の譲渡所得(不動産やゴルフ会員権などの売却益)
株式などの配当金を受け取っている方はかなり配当所得の計算がややこしいので、しっかり計算方式を確認してください。
ただし、NISA・積み立てNISA・ジュニアNISAに関しては非課税となるNISA口座で金銭がやり取りされ、確定申告は必要ありませんので安心してください。
その他
上記以外にも確定申告をしたほうが節税できたりお得になれるケースがあります。
- ふるさと納税:2,000円を支払うことで一定の寄付額までガッツリ控除されて返礼品も受け取れる
- 医療費控除(or セルフメディケーション税制):高額な医療費や市販の薬代が一定額まで控除される
- 災害や盗難にあった時の雑損控除:自然災害や盗難などによって資産が損害を受けた場合に一定金額が控除される
- 初回の住宅ローン:2回目以降は年末調整で控除可能だが1回目は確定申告でのみ控除される
- ローンが残っているマイホームを安値で売却した:通算損益がマイナスの場合には一定金額が控除される
これらは確定申告を必要としませんが、申告することによって一定金額が控除され節税できる制度になりますのでぜひ利用したいですね。
特に利用者が多いであろうふるさと納税は、確定申告しなければただただぼったくり価格の商品を買っただけになりますので必ず申告してください。
ただし、『ふるさと納税ワンストップ特例』を申請して適用された場合のみ、確定申告せずに控除が受けられます。
確定申告に関する落とし穴
以上でサラリーマンの確定申告に関してはおおよそ網羅できました。
ここでもう1点「自分はサラリーマンだと思ってたけど実は違った」パターンを紹介します。
- ウーバーイーツで食っている
- 夜のお店で働いていて報酬制で契約している
- タレント/モデル業でマネジメント契約を選んでいる
- プロスポーツ選手としてクラブや会社と契約している
これらの場合はすべて個人事業主・フリーランスになりますので確定申告が必要になります。
ただ、場合によっては会社や事務所の説明が不十分でご自身を会社員と誤って認識していることがあります。
その場合は源泉徴収をされていないので、確定申告をしなかったら『申告漏れ』や『脱税』として扱われてしまいますので十分に注意しましょう。
特にウーバーイーツについては、その雇用形態が社会問題となっていますね。Uber社としては配達員や配送員を雇っている訳ではなくて、あくまで「配達/配送事業者とサービス消費者の契約を取り持つ仲介業者」というスタンスです
最後に
ひたすらサラリーマン業をするだけでは知らなくてもいい確定申告ですが、給料以外でお金を動かすようなことをすると意外と確定申告をする必要が出てきます。
特に現在の日本では老後自己責任論や将来への不安から副業を始める方も多くなっています。
副業し始めたはいいけど税の申告漏れがあって追徴課税されては本末転倒ですし、最悪刑事罪に問われる可能性もあります。
それに行政の特徴として「税金逃れは絶対許さないしどこまででも追っかけるけど、国民が補助制度を知らずに損をする場合はあなたの自己責任ですよ」というスタンスで制度を敷くので、ご自身が知らず知らず損をしないためにも税制について十分に勉強していきましょう。
知識は宝の山を探索するための武器であり、自分の財産を守るための盾でもあります。税の知識を仕入れたりアップデートする姿勢は忘れないようにしたいですね。
では次の記事でお会いしましょう!
またな
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