- 起業/個人事業主を目指している
- 個人事業主の稼ぎが気になる
- おおまかな経費割合を知りたい
将来に向けての資産形成の必要性が各所で言われ始めている昨今、フリーランスとしてやっていくことを考える人も増えてきているのではないでしょうか。
また業界や職種によっては、サラリーマンでは収入増加が見込めないので独立を考えている人もいるでしょう。
そういった人たちに向けて、起業して2年目に入った著者なめくじが実際の売上を含む数字を公開してみようと思います。
新たな人生の生き方としてフリーランスや個人事業主を考えている人は、ぜひ読んで参考にしてみてください。
またすでに起業している人にとっては中々見ることができない他人の商売の売上も知れますので、一つの目安になるかと思います。
ではどうぞお付き合いください。
結論
- 1年目は経常利益▲578万円で給料ゼロ円
- 事業計画通りには進行中
- 大きな経費が占める割合の目安を知っておく
- 先行投資が大きい起業はそれなりにリスキーなのでしっかり準備する
起業とは
起業とは「新しく事業を興すこと」です。
形態としては①個人事業主(フリーランス)、②法人設立があります。
①、②はどちらにもメリットデメリットが存在しますので、どちらか悩む場合は税理士に相談してアドバイスをもらうと良いかもしれません。

なめくじは①個人事業主として起業しました
ちなみにサラリーマンの傍らで副業を始める場合でも、それがパートやアルバイトでなければやはり個人事業主(フリーランス)になります。
著者の起業に関しての紹介
今後の流れを理解しやすくするために、まず自己紹介をさせてください。
著者であるなめくじは10年間医療系のサラリーマンをしており、そこを辞めた後の2021年に起業しました。
ジャンルは医療/サービス系、自己資金は500万円、融資5,000万円(15年返済)、実店舗有りという形です。
起業して1年2ヶ月経った2022年4月現在は、月商売上で最高額の300万円に到達し更新中。
起業1年目の売上高は計2,200万円となっています。
起業後の実績の推移について
2021年に起業してからの数字の推移を見ていきます。
以下が起業以来の月別売上高推移を示したグラフです。
業界的には3〜5月が繁忙期で、以降徐々に閑散期に入るといったイメージです。

こちらのグラフからも2021年4月を頂点にして徐々に閑散期に入り、2022年3月からまた繁忙期に入ったことが読み取れます。

おおよそ業界の流れと似通った推移や

認知度ゼロの状態からこの流れに乗れたのは幸運ですね
個人事業主としての給料
まずみなさんが興味があるだろう私の給料からお話しします。
結論から先に言うと去年の私の給料はゼロ円です。

ちなみに給料ゼロ円は事業計画的にはほぼ予定通りです

強がりはよしなさいよ

ほんとなんですって…
さて個人事業主はサラリーマンと違って、以下の通りに所得が計算されます。
売上ー経費=所得(この所得を元に各種税金が計算される)
当期売上は経費>売上なので、所得税は全くありません。
よって1円もふるさと納税できません。

ガッデム!
細かい数字の話(給料)
個人事業主は必ず1月1日〜12月31日を当期としてますので、以降はこの期間での計算になります。
当期売上は2,050万円で、限界利益率は1,567万円です。
この状態で当期経常利益は「▲578万円」です。

大事故やんけ
ただしこの中には652万円の減価償却費が含まれているため、実質の1年キャッシュフローという意味では「74万円」の浮きとなります。

下手したら学生バイトに負けますね
厳密にはこの年間74万円が個人事業主である私の給料となる訳ですが、自身の国民年金や国民健康保険料の支払いで全部吹っ飛んでいます。
消費税の還付金
個人事業主は起業年を含む最初2年は消費税を納めなくて良いことになっています(2022年時点)。
そこで事業主は以下の2つの選択肢が与えられます。
- 予定通り最初2年を非課税事業者として免税される
- 申告することにより1年目の消費税還付を受け取り、以降は課税事業者となる
このどちらかを選ぶかは事業者次第であり、未来の業績により有利にも不利にも働きます。
なめくじは②を選んでいるために、「1年目経費の消費税ー売上分の消費税」の差額380万円程度が還付金として受け取れました。

どっちが得になるか、顧問弁護士と1時間以上相談しました
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、有期の契約社員やパート社員を正社員登用するためのものです。
なめくじの事業所では2名分申請していますので、申請が降りたら114万円分の助成金が入る予定です。

自分でやりましたが、なんとか通りました

ちゃんとした社労士に頼むと20〜30万円取られるぞ
経費の割合
事業として成り立たせるためには、いくら売上を作ろうが利益が出さなければ意味がありません。

売上高100億円でも経費120億円なら破産まったなし!
その中で目安となる売上高に対する経費ごとの割合というものがあります。
それを一部紹介します。
ただし業種やエリアによって全然違いますので参考程度に留めてください。
人件費
20-25%程度が目安になります。

ちなみになめくじは24.4%なのでギリギリでした
なめくじの事業所では年収260万円程度で2人雇用しています。
年商2,000万円でこれ以上の人数を雇ったり、給料を上げるのは危険であることが分かります。
年商4,000万円でやっと年収500万円クラスを2人雇用が可能ということです。
サラリーマン時代では物足りなかった年収500万円であっても、雇用主側の立場になるとそれがいかに苦しい数字かを実感します。
なおこの人件費には事業主の給料は含まれていないことに注意が必要です。
この人件費率を下げるためには、以下のような施策が必要となります。
- 最低時給でこき使うブラック企業化
- 生産性アップ(従業員人数据え置きで客単価upや客数up)
原価率
20-30%程度が目安となります。

よく聞く飲食店の原価3割って本当なんやな

ええ、原価率が3割超えたらかなり苦しいでしょうね
なめくじの事業所では原価率23.5%です。
この原価率を下げるためには、以下のような施策が必要となります。
- 大口購入などで買い付けコストを減らす(リスク大)
- 安い代替品を探す
- 付加価値を付けて価格を上げる
特に重要なことは3つ目の「付加価値」と考えています。
同じ小売業者が同一商品で競合している市場では価格の上げようがありません。
なぜなら、高くしたら安く売っている他店に客が流れるだけだからです。
ですので自店でオンリーワンの商材やサービスを提供することが価格を上げるために必要不可欠と言えます。

レッドオーシャンを避けろってのはコレが理由なんやな
地代家賃
店舗を持つ事業者で問題となる固定費の一つは地代家賃です。
これは「物件賃料」と「駐車場賃料」の2つを含みます。

物件を借りずに自分で建てたならば、そのローン返済が賃料みたいなもんです
地代家賃に関しては一般に10%未満が目安とされています。
ちなみになめくじ事業所では地代家賃は26.2%となっています。

無謀すぎる…
年商2,000万円ベースだと524万円が賃料と考えるとかなり高額であることが分かります。
仮にこれを適正化しようとすると年商5,000万円以上を出す必要があります。
今後の展望
今後の事業の展望については、以下の通りで考えています。
- 2年目から事業としての収益発生
- 先行投資が減る分、経常利益率up
- 来期は自分の給料として月20万円を想定
- 十分な収益が確保できたら法人成り
1年目の当期は、店舗の認知不足や先行投資の影響が大きかったため経常利益を上げることはできませんでした。
しかし当期分のマイナス計上は翌年、翌々年の利益にぶつけて節税できますので無駄にはなりません。

▲580万円は所得税率20%で考えると116万円分の節税となる
2年目で最低限の所得を確保しつつ、5年目までで実質年収1,000万円近くを狙うつもりです。
なめくじは年収550万円を捨てて起業していますので、機会損失としては当期だけで500万円弱にも上ります。
現在はその影響で一時的に予測生涯賃金が悪化していますが、今後事業が軌道に乗ったら恐らく6~7年目で逆転すると想定しています。

起業自体がまさに投資ですね
最後に
いかがだったでしょうか。
自分で言うのもなんですが、個人事業主のリアルな経営の数字というのは見る機会はほとんど無いと思います。
「起業してひと山当ててやろう」というという野心的な人は、一度起業直後の生活を思い描いてみてください。

なめくじは妻の給料だけで夫婦2人が食えるのでこういう無茶ができます
うまくやれば1年目から十分な収益を出すことはできると思います。
しかしそのためには「投資金額小/固定費小/売上大」というそれなりに高いハードルを乗り越える必要があります。

IT系とかコンサルが強いのは、案件さえ取れればこの条件に合致するからや
自分でやっているからこそ言えますが、起業という行為は割と博打です。
投資界隈で分かりやすいように言えば、借金してレバをかけているような状況です。
皆さんにもどんどん起業して欲しいと素直に思いますが、リスクも把握して足元を固めた状態でぜひチャレンジしてくださいね。
もし自分って起業に向いているのか気になる人は下の記事も読んでみてください。


では次の記事でお会いしましょう!

またな
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