政治

新自由主義になると生活や投資はどう変化する?

10月の総裁選や11月の衆院選のニュースでにわかに騒がれ始めた新自由主義。

実際に『新自由主義』の月間検索ボリュームが8月以来2倍以上に増えていることから、新自由主義の注目度が上がっていることが伺えます。

本記事では新自由主義の意味と、我々国民や投資家の生活に新自由主義がどう影響するのかを考えていきます。

新自由主義を理解すれば、自分の生活と照らし合わせてどこの政党や政治家を応援していけばいいかが自ずと分かるようになります。

そして新自由主義が政治シーンで強まった時にどういう政策がとられるのか、どういう方向に我々の生活が変わっていくかが予想できるようになります。

つまり、時代の変化というリスクに対して事前に対策を考えられるようになるということです。

自分たちの大事な生活や資産を守るために新自由主義について一緒に勉強していきましょう。

では早速解説していきます!

新自由主義とは

新自由主義とは「小さな政府」を実現して、市場の自由競争によって経済を発展させていこうという試みや考え方である

新自由主義(ネオリベラリズム、ネオリベ)の始まりは1970年代後半から80年代に盛んに取り上げられ始めた経済思想の一つです。

それまではケインズ主義といって「市場の競争原理を信用せずに政府が財政・金融に大きく投資して支配すれば雇用は安定する」という思想に、世界恐慌がトラウマとなった世界は希望を見出していました。

こういった積極的な経済介入をする政府を『大きな政府』と呼びます。

しかし政策が押し進められると同時にケインズ主義の欠点・限界も見えてきました。

ケインズ主義では大きな政府がガンガン公共投資をするのですが、税収だけでは財源を賄えず国債という借金手形を発行しながら活動していたので政府の財政赤字がどんどん貯まってしまいました

また、黙って待っていても国から仕事やお金が降り注いでくるので市場は争うことを止め、同時に効率化をしなくなっていきました。

親鳥が餌を運んできてくれるのを口を開けて待っている雛鳥のような状態ですね。

これでは国の発展(技術革新・生産性の向上)ができない。

危機感を覚えた世界は、徐々にケインズ主義から離れ方向転換をしていきます。

次に目をつけたのは新自由主義という思想でした。

新自由主義とは最低限の公共サービスだけは政府で維持しつつ、任せられるものは全て市場に任せ競争・発展させていこうという考え方です。

大きな政府とは対極の考え方である『小さな政府』というやつですね。

日本では1982年発足の中曽根政権から新自由主義が採用されたので、もう40年近く前の話になります。

『新』と名前がついている割に思想の歴史は少しずつ古くなってきているんですね。

なめくじ

中曽根政権は国鉄(鉄道)、電電公社(電話)、専売公社(タバコ)、日本航空(航空)を自由化、つまり政府管理下から市場にブン投げたことで知られています。まさに新自由主義といった感じですね

「より国家の発展に適した思想である」と思われていた新自由主義ですが、ケインズ主義同様にやはり次第に限界が表れてきます。

新自由主義ではケインズ主義と対極に、効率化が図られたと同時に安定雇用も失われていきました

世界恐慌で失業者を救ったケインズ主義と真逆のことをするので当たり前の結果ですね。

社会や市場は弱肉強食といった性格が色濃くなり過度の競争から社会保障の品質低下を招き、いわゆる『格差社会』に突入していきました。

そして2021年現在、コロナ禍による未曾有の経済混乱で誰もが職を失い転落しうる状況に置かれています。

その苦しい状況の中で世界は「新自由主義」か「ケインズ主義」か「新たな経済思想」か、決断を迫られています。

なめくじ

日本も多くの国家も資本主義を採用しています。資本主義と新自由主義は矛盾した関係ではなく、資本主義という大きな枠組みがあって、その中にケインズ主義や新自由主義という小さな枠組みがあると思ってください

現時点での世界情勢

2020年初頭には世界的なパンデミックに見舞われた各国政府は、渡航制限(鎖国)でコロナウイルスの流行を抑えるとともに早々に金融緩和に踏み出しました。

金融緩和というのは政府が市場に資金をジャブジャブ投入し、経済活動の縮小にブレーキをかけようという政策です。

もちろん時代情勢に合わせたマイナーチェンジをしてはいますが、やっていることはまさにケインズ主義ど真ん中ですね。

ワクチンによる流行制圧の兆しとともに(犠牲を払いながら)速やかに経済活動を再開させ、世界の経済は復興しつつあります

しかしケインズ主義が行き過ぎると以前(1980年代)の問題点や過度なインフレを起こすリスクがあるため、各国政府は経済の復興具合を注視しながら金融引締め(緩和の逆)のタイミングを図っています。

現時点での日本情勢

大変残念ながら、苦しい戦いが続いています

今年に入ってから日本の株価は足踏みしています。

G7の株価でいうと日本に次いでドイツが足踏みし始め、イギリスは右肩上がりは続いているもののG7中唯一コロナ前の株価に到達していなくて負け組といった感じでしょうか。

他方、インフレ率を見ると日本だけ異常な状態が続いています。

G7で、他の国は軒並みコロナ前から物価はインフレしており金融緩和政策が効力を出していることが分かりますが、日本だけインフレ率マイナスを出しています。

日本はコロナ禍以前から経済を立て直すべく『異次元の金融緩和』を続けており、コロナ禍以降ではもはや金融緩和が特効薬として機能していないといった状況です。

会社で例えるなら「各国は社員にエナジードリンクを飲ませて徹夜でデスマーチを乗り越えつつあるけど、日本だけ社員が3徹目に突入していてタスクをこなせていません」といった感じでしょうか。

新自由主義を掲げる政党

日本の主要政党の中ではっきりと新自由主義を掲げているのは唯一『日本維新の会』だけです。

11月の衆院選では日本維新の会が前年比約4倍議席と大躍進を遂げました。

この2つの事実だけで見ると、国民は新自由主義政策を希望していると言えますね

自民党は小泉政権の郵政民営化が代表的ですが、しばらく新自由主義路線で進んでいました。

しかし、アベノミクスで方向転換をしてから菅政権を経て今現在の岸田政権はどういう路線で行くのか道を模索しているという状態です。

岸田首相は「新自由主義からの転換」を訴えていますが、現時点では古典的なケインズ主義の弱点をも克服するような新たな経済を目指しているように見えます。

それがいいとこ取りになるのか、両方中途半端で終わるのか、繊細な舵取りが必要になりますね。

日本維新の会や自民党以外の政党は、新自由主義から離れた思想であると大雑把に理解していただければ十分です。

ただ、それらの政党は社会主義や共産主義に近づく政策を提案している割には『減税』も主張していることが多いんですよね。

通常の考え方であれば新自由主義から脱却=増税なんですが、まあ法人税をがっつり上げて国民の目に付きやすい税金を減らすってことなんでしょうね。

なめくじ

小泉政権のブレーンとして活躍し、日本維新の会とも付き合いの深い竹中平蔵氏がバリバリの新自由主義です。彼は新自由主義による格差拡大と自信のグループ会社への税金誘導も相まって、国民から非常に叩かれている財界人の1人です

新自由主義が一般国民に与える影響

さて、新自由主義というものの輪郭がぼんやり見えてきたところで、我々の実生活にどういった影響を与えるのか、プラスの側面とマイナスの側面から考えていきましょう。

国民へのプラスの影響

競争原理でサービス向上

多くの行政サービスが市場競争の中に突っ込まれるために、競争原理でサービスの向上や生産性のアップが見込まれます

行政サービスは法律に基づいて粛々と予算配分がされ、委託する業者間での競争が中々起きないという問題点があります。

そういった行政サービスを市場に任せてしまえば、民間企業での仕事の奪い合いとなります。

消費者としてはそういった市場競争で、より安かったりより価値の高いサービスが続々と登場するというメリットがあります。

政府(自治体)の財政収支が健全化する

赤字部門を政府や自治体から切り離したり縮小・廃止することで財政収支が改善します。

選択と集中という話になりますが、赤字部門を減らして黒字部門を残すようにすれば政府(自治体)の債権=借金手形を発行せずに、本当に国民に求められるサービスを手厚くすることが可能になります

以前の大阪市では市バスが赤字を垂れ流し続けて他の行政サービスの予算を圧迫していましたが、バス路線を縮小することにより財政健全化に効果を発揮しました。

黒字の出方次第では余剰金としてプールすることでリスク・有事に緊急の財政出動ができるようになるかもしれません。

国民へのマイナスの影響

収益性が無いけど重要なサービスがおざなりになる

社会には事業の性質上、収益を上げにくい(赤字)体質だけれど国民には重要というサービスが存在します。

本来行政というのはそういった事業だけのはずなんですけどね。

つまり、「自分は損するからやりたくないけど生活には必要だから誰かやってよ」というサービスをみんなが税金として出資したお金で実施するというのが行政本来の姿です。

こういった赤字だけど大事なサービスが民間に移行してしまうと、収益性を上げるために企業としては品質を低下せざるを得ない場合があります。

また、移行せずともサービスを縮小・廃止することで国民の生活にマイナスとなる可能性があります。

先に挙げた大阪市バス縮小の例では、縮小によって市の財政赤字は改善した反面、バス利用が多い高齢者は移動が不便になってしまいました。

なめくじ

行政の赤字の原因は、別に公務員がさぼっていたり中抜きしたりなどと言われるようなものだけではありません。本来は赤字部門をみんなの税負担でやりましょうというのが行政です

国家の安全を脅かす

行政サービスというものは自由化しても国防上そこまで問題の無いものから非常によろしくないものまで様々あります。

国民が安心して生活できるためには大前提として日本という国家が安全でなければいけません。

もし、例えば水道や電気といったインフラが完全に自由化されたらどうでしょうか。

外国であったり、外国の影響力が非常に強い企業がインフラ基幹となったら、その外国の指先ひとつで日本国民を干上がらせられるようになります。

現実にはそんな分かりやすいことは起きないと思いますが、そういった背景から政府が外国に対して不利な契約などを結び、国家の富が流出してしまうことは大いに有り得ます。

国家の富が流出するということは国民がどんどん貧乏になるということですから大変ですね。

新自由主義が極端になったり、判断を誤ったりするとこういった命綱のようなサービスまで自由化される危険性があります

なめくじ

2021年8月には宮城県が今後20年間の上下水道運営権を売却した企業が、フランス企業に牛耳られていることが判明して世間がざわつきましたね。まさに新自由主義が内包するリスクの代表例と言えます

新自由主義が投資家に与える影響

投資家も国民の1人ですが、投資家には投資家として新自由主義の影響を受けます。

今度は金融政策という観点から見てみましょう。

投資家へのプラスの影響

税金による投資収益の減少が少ない

新自由主義は、『小さな政府』であることは最初にお伝えした通りです。

小さな政府であるということは税金による再分配をなるべく行わないと言い換えられます。

税金としての割合が少なくなり、投資による収益がその分減りにくくなるメリットがあります

投資資本が確保しやすい

税金が少ないということは、投資資本(種銭)が確保しやすいことがあげられます。

これは社会保障が手薄になる新自由主義の弱点と表裏一体の話ですが、国民は可処分所得が増えます。

可処分所得=総所得ー税金(主に社会保障費)

新自由主義とは行政というゲームマスターが最低限しか動かない社会を目指しています。

可処分所得を増やして、「社会から自分を転落させないようにお金の使い道を判断するのは自己責任ですよ」ということです。

そういった中で、マネーリテラシーの高い投資家にとって可処分所得が増えるというのは投資の種銭が増えることに繋がり、資本を形成するのに有利に働きます。

投資家へのマイナスの影響

副業投資家にとって命綱の給与所得が不安定になる

新自由主義はケインズ主義と比べると雇用の安定性が低くなってしまいます。

すでに資本を十分に蓄えている投資家にとって雇用の安定性は大事ではありませんが、サラリーマンとしての本業を持ちつつ副業的に資産形成をしようという投資家にとっては重要な問題となります。

特に今回のコロナ禍のような大混乱が起きた時には多くの雇用が失われ、もし失業した場合には今を生き抜くために投資資本を引き上げざるを得なくなります

経済の発展性を狙うために不安定性(リスク)を許容する思想こそが新自由主義なのです。

相場が荒れる

長期(20〜30年)視点での投資家にとっては大きなデメリットにはなりませんが、相場が荒れやすい状況は短期トレードの投資家にとってはメリットにもデメリットにもなります。

新自由主義では経済の不安定性を許容するといいましたが、不安定性があるということは何かの社会問題が起きた際には資産価値が乱高下するということに繋がります。

ただでさえ投資は弱肉強食という側面が強いのにその性質が強化されるようなイメージですね。

その中で他人を出し抜ける要領の良い投資家ならいいですが、リスク許容度が低かったりすでに無理な投資をしている投資家には破滅の危険性が増大します

そして社会問題が投資の間に起きなければいいという楽観論は厳禁です。

世界が100年に1回の大波乱の種を100個抱えていたら1年に1回とは言わないまでも、数年〜10数年に1回は起きることが想像できるでしょう。

実際に日経株価もここ20年のうちに3回は暴落を経験しています。

最低10年に1回は株価は暴落を起こすことを前提に考えて投資をすべきであり、それを考慮すると新自由主義はそのボラティリティが大きくなるデメリットは明確です。

最後に

いかがでしょうか?

新自由主義とは国民にも投資家にもメリットデメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。

もし、今後の政策が新自由主義と離れていくことを表明するのならば本記事とは逆の方向に社会が動くと考えてもらえれば大丈夫です。

いずれの路線にせよ、政策というものは我々の生活に密接に関わってきます。

生活を安定させるためにも、安全な投資をするためにも政治には無関心ではいられません。

新自由主義についてご理解いただいた中で、それぞれが取れる対策を事前にしていただくことが将来の不安を減らす第一歩となります

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なめくじ
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