※本記事は特定の政党や候補者を支持あるいは批判するものではありません。
学校で政治教育をほとんどされない日本において、現存する政党ごとの違いや右派左派などを明確に答えられる人は少ないでしょう。
臭い物に蓋か知らんが、とにかく現代の政治経済を教育しない
ネアンデルタール人とか勉強するより断然大事だと思うんですけどね
政治に興味を持つ人は、基本的にすべて自分で調べて知識を身に付けなければいけません。
本記事はそんな勉強を助けるための政治に関する基礎知識を分かりやすい言葉で解説します。
またなるべく主観を排して、現在ある政党について簡潔に紹介します。
政党に関する基礎知識が一度に入りますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
結論
政治や政党ってなに?
政治とは本来、「国や社会を良い感じに統治するためのシステム」のことを指しています。
我々はもっぱら、そのシステムの一部である立法府でわちゃわちゃやることを政治と呼んでいます。
立法府というのは議員が集まって話し合って国や社会の法律やルールを決める場所で、簡単に言うと国会のことです。
さてみなさん、民主主義は多数決って聞いたことありますよね。
民主政治を主導するためには数の力が必要です。
数の力のために、考え方が似たような人たちが集まって結成した仲良し団体が政党です。
ちなみに政党の中で内閣(日本代表チーム)を組織している政党を与党、それ以外の政党を野党と呼びます。
現時点(2021年10月)では与党が自民党、野党のうち一番強いのが立憲民主党です。
右派・保守や左派・リベラルって何が違うの?
政党の行動方針や思想は大きく2つに分けて語られます。
それが『右派・保守派』と『左派・リベラル』です。
右派・保守派
右派や保守派と呼ばれる思想は古くからの伝統や制度、社会組織を大事にします。
日本での右派・保守派は本来の意味合いからは外れており、その傾向は「9条改憲(自衛隊の軍隊化)、ナショナリズム(日本への誇りを持つ)、消費税増税、夫婦別姓反対、移民反対、日米同盟重視、原発推進」といったキーワードで表されます。
保守なのに改憲派ってのは不思議ですがそういうもんと思ってください。
右派らしく資本主義に忠実に政策を行えば社会の格差が大きくなりますが、自民党は割と左派寄りの経済政策を行なっています。
右派にも色々な思想段階がありますが、特に尖った思想や極端な行動をするひとたちを右翼と呼びます。
黒塗りの日の丸が描かれた車で軍歌を大音量で流しながら走っている人たちが典型的な右翼ですが、最近ではあまり見なくなりました。
右翼を分かりやすく言えば江戸時代でいう新選組です。
れいわ新選組は左派なのになんでこんな政党名にしたんでしょうね?
左派・リベラル
左派・リベラルは革新的だったり革命的な思想を持ち、独裁や王権を否定し民衆で物事を決定するというのが本来の考え方です。
労働者が革命を起こして王様や貴族から権利を勝ち取るという動きが源流にありますのでわかりやすいですね。
日本での左派・リベラルの使われ方も右派・保守派同様に本来の意味合いからは外れており「軍隊の不保持、国より個人、社会主義・共産主義、夫婦別姓賛成、移民賛成、消費税減税、米国からの自立、原発反対」といったキーワードで表されます。
左派は元々内戦や王族の処刑で革命を狙う勢力なので尖った行動をするものですが、現在はさすがにほぼそんなことはしません。
しかし1960-1970年代の日本では、革マル派や中核派と呼ばれる一部の左翼勢力が暴れていました。
暴力的なデモを行い火炎瓶とか投げてた人たちですね。
彼らは今は大人しくしていますがちょいちょい警察にガサ入れされてニュースになっています。
京都大学の学生寮である熊野寮が左翼の拠点として有名ですね。
主要な政党はどのくらいあるの?
国会議員が所属している政党に限れば9個の政党があります。
- 自由民主党(右派)
- 立憲民主党(左派)
- 公明党(真ん中)
- 日本維新の会(右派)
- 日本共産党(左派)
- 国民民主党(真ん中)
- れいわ新選組(左派)
- 社会民主党(左派)
- NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で(右派?)
これら主要政党以外にも、選挙でよく分からない泡沫政党が出てくることがありますが気にしなくてOKです。
もし今までの日本の政治史で出てきた泡沫政党に興味がある人はwikipediaの一番下を読んでみてください。
さて、次の項目からは主要な政党に関してそれぞれ解説していきます。
政党には多くの支持母体(組織)があり、大量のいわゆる組織票が投じられます。
ですので、基本は支持母体の意に沿うような形で公約を宣言したり政策方針を決定したりします。
これら支持母体の主な団体も併記していきます。
これら団体は政党を支持すると同時にマスコミへの巨大な広告主にもなったりしていますので、ややこしい事態にならないようマスコミはあまり放送で触れません。
支持母体そのものを覚える必要はありませんが、そういう大人の事情が色んなところで絡んでいるんだという理解をしておいてください。
①自由民主党
1955年に発足以来、現在にいたる66年のうち62年を与党として君臨する日本最大の政党です。
名前が長いので自民党と呼ばれます。
主な支持母体は経団連です。
2012年からの安倍晋三内閣は約8年にもおよび、歴代で最長の政権となりました。
2020年の菅内閣を経て、2021年現在では岸田文雄総裁(執筆時では内閣ではない)にバトンタッチしています。
議員の数が一番多くて控え選手(重要職についていない議員)層が厚いので、政党内でもそこそこ思想・考え方にブレが生じています。
2021年9月に起きた自民党総裁選では、出馬した4候補者だけでも保守系から左派寄りまで同一政党内でも様々な考え方があることを見せつけました。
メディアの討論会を視聴して「もう自民党だけで事足りてるじゃん・・」という印象を持った人も多いのではないでしょうか。
そんな厚みのある自民党ですが悪い点もあり、出世順番待ちのご老人が沢山いたり重要職を老獪な大物議員で牛耳ったりしています。
メディアに露出するのはこういった議員が多いので老人政党の印象が強いですが、実は政党内平均年齢はそこまで高くないです。
よくメディアや他党からは右派(保守派)と言われますが特に経済政策的にはやや左寄りです。
自民党選挙用特設サイト
立憲民主党
立憲民主党は旧民主党系が内部分裂したあと二転三転した後に成立した政党で、国民民主党とは生き別れの兄弟みたいな存在です。
政党成立までには説明するのが難しい複雑な経緯がありますが、2020年からやっと枝野幸男さんが代表を務める現体制となっています。
こちらも政党名が長いので立民と省略されることが多いです。
支持母体は連合と呼ばれる労働者組合の総本山みたいなところです。
トヨタ自動車の労組もこの連合傘下にあります。
今回の選挙では党の略称を民主と届け出ましたが国民民主党の届け出内容と被ったため、略称での投票数は山分けというルールになりました。
政策によっては賛同することもありますが、外交・経済・憲法といった重要事項では基本的にすべて自民党と対立姿勢を示します。
国会論戦では、与党(特に自民党に)に一番噛み付きに行って目立っている政党です。
考え方はリベラル・革新政党(左派)であった旧民主党のエッセンスをより濃厚にしたもので自民党の政策に批判的な国民の受け皿として野党第一党になっています。
2021年の衆院選では共産党との選挙協力を表明していますが、支持母体である連合が共産党を嫌っているので、表立って共産を応援すると票を失うという難しい舵取りを迫られています。
公明党
自民党と連立して2000年から与党として君臨しています。
現在の党首は2009年より現在までの12年間を山口那津男さんが務めています。
支持母体は創価学会という宗教団体ですが、政教分離の原則(法律)には違反していないという公式見解をHP上で発表しています。
支持母体が宗教団体なだけあって、学会員と呼ばれる信者の公明党への投票率が極めて高いです。
そうした理由で確実に一定数の議席を獲得できることから、改憲を狙う与党内で人数以上の存在感を発揮しています。
比較的少数政党ながら、よくキャスティングボードを握っていると言われるのはこの仕組みが原因です。
ちなみに公明党自体は憲法9条改正には慎重〜反対の立場でどちらかというと加憲という立場を取っています。
政策としては右派でも左派でもない真ん中で、良くも悪くも自民党のブレーキ役を担っています。
日本維新の会
大阪維新の会を母体として2015年に結成されました。
略称は維新です。
大阪市長の松井一郎さんが代表、片山虎之助さんが共同代表です。
※メディアでお馴染みの吉村府知事は副代表
支持母体は特にありませんが元政治家で経済界の大物である竹中平蔵という人の影響が強いとも言われます。
母体の大阪維新の会が当時の大阪府の財政危機に対して立ち上がり、無駄な公務員や経費の削減などの改革を行って財政を回復させた実績があります。
その勢いで日本の改革をと意気込んでいるので、同様の手法である小さな政府や地方自治の強化などの新自由主義を推し進めています。
大阪府内で特別に国民からの支持が多い政党で、政策は右派に属します。
日本共産党
政党としての出発は1945年という自民党以上に歴史が古い政党です。
志位(シイ)和夫委員長が2000年の就任以来21年間トップを張り続けています。
全委員長の不破氏も含めて党内の新陳代謝が遅いことから、共産主義とは真逆の独裁政党だということをよく言われます。
資本主義の日本の中で、社会主義や共産主義への変化を目指しています。
税金から捻出される政党助成金を唯一受け取っていない政党であり、活動費は共産党を支持する個人の寄付などで賄うというポリシーがあります。
活動費の一部として、しんぶん赤旗という政党独自の新聞的なものを発行して支持者から収益を上げています。
支持母体は全労連という連合とはまた違う労働組合の親分です。
2000年代には自ら「確かな野党」を標榜し、なぁなぁで終わりそうな論戦に正論を叩き込むなど実際に日本の政治シーンでも独特の存在感を発揮しています。
2021年衆院選では立憲民主との選挙協力を表明しましたが、それぞれの支持母体の仲が悪いので難しい立ち回りを要求される立場に自らを追い込んでいます。
政策は完全に左派です。
国民民主党
玉木雄一郎さんが2020年の設立以来代表を務めています。
旧民主党系が内部分裂してできた片割れで、立憲民主党とは兄弟みたいな存在ですが両者の仲はけして良くありません。
支持母体は立憲民主党と同じく連合なのが、少女漫画の恋愛模様のように事態をややこしくさせています。
旧民主党系の中でリベラル色が弱い議員が集まって所属しているため、自民党からすると元対立政党の派生政党とは思えないほど政策が近くなっています。
旧民主党系の色が薄いのでリベラル寄りの人には支持が伸びず、保守寄りの人には自民党との対立軸が目立たず伸び悩むと難しい立場にいます。
今回の選挙では党の略称を民主と届け出ましたが立憲民主党の届け出内容と被ったため、略称での投票数は山分けというルールになりました。
政策はやや左寄りの真ん中です。
れいわ新選組
元俳優として知名度抜群の山本太郎さんが2019年に設立した政党です。
略称は主にれいわです。
支持母体はありませんが、革マル派や中核派といった昭和時代の武闘派革命勢力との関係が噂されています。
山本さん自身の知名度や演説能力の高さ、トリッキーな政治行動が特徴であり、自身でも公言する通りにミサイルのような存在の政党です。
しかし国民からの支持としては山本さん一人に頼り切りなので、選挙結果次第では国会の場から消滅する可能性もあります。
左派内でも徹底した社会的弱者の救済を目指しており、共産党を更に下方向に強化した感じです。
山本さん自身はポピュリズムであることを認めていますね。
やりたいこと、主張したいことがあってそれが結果として左派と扱われているという印象です。
社会民主党
現在の党首は福島瑞穂さんで、7年ぶり2回目です。
略称は社民党です。
1996年設立とそれなりに歴史のある政党ではありますが、近年では支持と議員数が減少し続けています。
そのため、政党要件(政党として認められる最低限の課題)をクリアできるかを色んな人からたびたび心配されています。
支持母体は連合や全労協(連合よりさらに左派の労働者組合の親分)です。
共産党同様に、資本主義である日本の中で社会主義への変化を目指して活動しています。
旧民主党系、とくに立憲民主党とはつかず離れずの微妙な距離をキープしています。
政策が近い立憲民主党、共産党、れいわ新選組の左派勢力とタッグを組むことが多いです。
政策としては完全に左派です。
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で
2019年から国政に進出した、立花孝志さんが党首を務める政党です。
党設立以来8年で6回も政党名を変えていますが、世間から一番注目されていた時期の党名である「NHKから国民を守る党」より「N国(エヌコク)」と呼ばれています。
国政進出時にはNHK絡みの議題以外については多数派に投票する(事実上の意見放棄)としていましたが、いつのまにかNHK絡みでないものにもじわじわと意見表明をしています。
党公約を見る限り政策はやや右寄りですが一部左寄りのものもあります。
政党名の変更からも分かる通り、れいわ新選組と同様に非常にトリッキーな政治行動を起こします。
パッと見は炎上系政党といった感じです。
また、党首の立花さんがYoutubeにて積極的に発信を繰り返しているのも特徴です。
政党に興味がある方はどうぞ見てみてください。
各政党の実際の政策傾向
文章だけで表すと大変な量になってしまいますのでNPO法人Mielka様のHPを参照してください。
とても分かりやすく各政党の政策や方向性が紹介されています。
本記事の内容だけでは支持政党を決めかねるという人はぜひ参考にしてください。
最後に

政党ごとの特徴や違いを、政治初心者にも分かりやすく解説しました。
なるべく主観を無くした中立的な見方をしているつもりですが、それでも偏っている可能性は否定できません。
これを読んで興味が出た政党があれば、先のまとめHPだけではなく、党公式HPにも飛んで公約や党理念を見てください。
本記事が初めて投票する時の参考に少しでもなれたら嬉しいです。
また、考えても投票したい候補者がいなくて困っている場合はこちらの記事も参考にしてください。
みなさん、良い投票を!