財務省は何故増税したがるのか?天下りの闇とともに考察

政治
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2021年に岸田政権が誕生以来、毎日のように増税のニュースが行き交っています。

物価高が直撃しつつある現在で、「これ以上増税されたらどう生活したらいいのか…」と嘆く人も多いでしょう。

さて岸田政権に限らずではありますが、「政府の借金が多すぎて、税率を上げないと国が壊れてしまう」という論調で政治は増税に突き進んでいます。

しかし本当のところは果たしてどうなんでしょうか?

日本で最も大きな利権を握っているであろう財務省と天下りという観点から考察していきます。

なお本記事内容の後半は推測の域を出ないものであり、またそれを基に読者を扇動するような意図は一切無いことを明記しておきます。

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日本の財政の現状と累計国債残高

まずは日本の現状をデータから理解しましょう。

なめくじ
なめくじ

いずれの画像も財務省HPから引用しています

日本の財政のうち歳出は現在年間110兆円程度で賄われており、そのうち約22%にあたる24兆円強が国債に関わる返済等に充てられています。

これを簡単に表現するなら、政府の毎年払ってる借金返済額が24.3兆円ということです。

次に歳入を見てみますが、110兆円の予算のうち約36%にあたるおよそ40兆円が国債発行によって賄われていることが分かります。

この40兆円ー24.3兆円=15.7兆円は新たな借金として政府にのしかかり、日本の累計国債残高は2022年時点で1,000兆円を超えました。

G7の中でも日本は、対GDP比で突出して債務残高が高いことが、データ上から読み取れます。

現状をごく簡単に表現すると、「政府が社会保障に毎年お金を使い過ぎているせいで、新たなローンを組んでローン返済している」ような状況です。

国民負担率

財政の現状を知ったところで一国民としては「政府が火の車なんて知らねーよ、こっちは搾り取られてんだよ」と怒りたくもなります。

そこで日本の税の国民負担率は、実際にどの程度なのかを見てみます。

財務省データによると昭和45年に24.3%だった国民負担率は徐々に上昇し、令和3年度の実績値で48.1%に到達しています。

これはOECD加盟36ヶ国で言えば22位(対GDP比21位)であり、どちらかというまだ低い方です。

スマイルくん
スマイルくん

五公五民で低い方とか悲惨過ぎるやろ…

ただ徴収された税金がどう民間に還元されるかは政府次第なので、国民負担率と生活の苦しさの実感は必ずリンクするものではありません。

ちなみに”社会保障負担率”だけを参照すると36ヶ国中11位ですので、日本国民の財産はかなり社会保障費に吸い取られていると言えます。

乱暴ではありますが、これらデータから老人は比較的生活が豊かであり、現役世代は働いて生み出した成果の割には苦しい生活を強いられているとも解釈できます。

個人的な見解

まずはなめくじ個人の国債に対する見解を述べます。

政府歳出のうち公債金支払いを優先するのは、短期で見ると当然であり長期の国家運営で見ると悪手と考えています。

これは工場で例えるならば、資金繰りが苦しいから設備を売り飛ばしたり新たな設備導入を渋っているようなものです。

この行動は短期的な収益改善には役立つものの、長期で見ると良質な商品が作れなくなることを意味し、結果として工場の売上は減少の一途を辿ります。

本来その工場がすべきは、金融機関に追加融資の相談をして設備を拡張することでしょう。

翻ってデータを見ると、日本の国内総生産(GDP)の伸びはここ30年間完全に停滞しています。

そう、今すべきは未来への投資であって節約ではありません。

GDP成長によってインフレし税収が伸びていけば相対的に公債金支払いは軽くなり、結果として政府のプライマリーバランス(PB)は徐々に改善されるでしょう。

これが通常の投資家であり経営者の考えで、今政府が行なっているのはそれと対極の、まさに貧乏になるためのルートです。

なめくじ
なめくじ

その代わり”現・金持ちの資産価値”は保全されますけどね

財務省の言い分

さて財務省は、現在の国債を発行しまくっている現状に以下のような警鐘を鳴らしています。

  • (将来世代への)負担の先送り
  • 財政の余力(ゆとり)が少なくなる
財務省HPより

これらの理由から、国債発行より増税することで政府の収入を増やし、財政を健全化させましょうというのが財務省の言い分です。

また財務省は別に「財政破綻を避けるためにPBを黒字化しなければいけない」ということを盛んに吹聴しています。

なめくじ
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つまり、このままだとギリシャみたいに国家が破綻するぞという脅しです

ただし財政破綻を避けるためというロジックは、日本が通貨発行権を持つ以上あり得ないことが一般にバレ始めたので、ここ数年は目にしなくなってきています。

日本への信用不安はあり得る

付け加えるならば、PB赤字を無尽蔵に拡大させた場合はインフレ方向に進む可能性があり、結果的に円の価値を毀損します。

また「国債を大量に発行させないといけない赤字国である」と諸外国投資家などに認識されると、海外からの投資マネーが引き上げられて経済にダメージが入る危険性はあります。

だって誰だって家計が慢性赤字の人間に金は貸したくないですよね。

つまり簡単に表現すると、「財政破綻は無いものの国債を乱発したら日本への信用不安は起こり得る」ということになります。

このロジックは、財務省や政治家に現在でも使い続けられています。

スマイルくん
スマイルくん

これを言われ続けて早数十年、何ともなってないがな

国債残高が増えると金利上昇局面で財政が死ぬ

国債には3年もの、5年ものの固定金利型と10年ものの変動金利型があります。

これはその名の通りで、例えば変動金利型の国債であれば10年の間に金利が上昇すると政府が返済しなければいけない借金の利子が増えます。

そうするとただでさえ火の車の財政なのに、世界情勢により金利上昇が起きた場合に日本の財政が止めを刺されてしまう。

だからこそ国債残高をむしろ減らしていき、そういった金利上昇局面に備えたいという思惑もあります。

なめくじ
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実際に2022年のドル高で金利コントロール(YCC)が危ぶまれました

日本には国債60年償還ルールが存在する

財務省の言い分とは少しズレますが、国債60年償還ルールについても触れておきます。

日本には財政規律を守る名目で、ひとたび発行した国債は”60年かけて完済しなければいけない”というルールがあります。

だからこそ歳出の22%を占める国債費のうち15兆円前後を消費して借金返済している訳です。

この償還ルールに関する異常性については「ひとびとの経済政策研究会」の2020年レポートが非常に分かりやすいので読んでみてください。

このルールの効果を簡単に言えば、国債償還(=借金返済)をすることで市場のマネー流通量が減りデフレ方向に働きます。

確かに60年償還ルールで財政規律は”ある程度”守られますが、デフレに苦しんできた日本経済にとってはもはや完全に呪いの装備となっています。

なめくじ
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防衛費増額の財源確保のため60年ルールを見直す動きもあります

なぜ財務省は増税したがるのか

さてインフレであれば増税や金利引き上げ、デフレであれば減税や金利引き下げなんてことは、中学生でも習う経済の基本の”き”です。

なぜインフレ(日銀はインフレ率2%を目標)に持っていきたい現在の日本で、こんなにも増税話が出てしまうのでしょうか。

その答えは財務省の闇の中にあると、なめくじは考えています。

増税方向に持っていくと出世する

財務省に勤務する役人(国家公務員)は、「増税方向に施策を誘導すると出世する」と古くからまことしやかに言われています。

真実は勤務している人間や財務省上層部にしか分かりませんが、一部の元官僚は書籍やメディアを通じてその旨を発言していたりもします。

なぜ日本をインフレさせなければいけない時に増税し続けるのか、という違和感の答えがここにあるとなめくじは考えています。

日本最大の利権組織

財務省は、日本の歳入と歳出を同時に管理しています。

スマイルくん
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予算立案は表向き立法府の仕事になってるがな

つまり言い換えると日本のお金の動きをたった1組織が牛耳っている訳です。

財務省が抵抗すれば国会運営はグチャグチャになりますし、財務省の高級官僚の機嫌を損ねると政治家は民間企業などを介した自分や自分の団体への利益誘導をし辛くなります。

なので各省庁は大臣が管轄しているとは言え、あまりに利権が肥大し過ぎている財務省に関しては政治側のコントロールが効きにくくなっているのが現状です。

財務省という組織の特殊性

国家公務員、とりわけ省庁勤務はとても大変な仕事のようです。

なめくじ
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官僚は労基法の枠外なので、過労死ラインを超えても残業できます

官僚のあまりの激務に志望者が減って更にブラック化するという悪循環に陥っており、NHKやその他メディアにも定期的に話題を取り上げられるほどです。

その中でも財務省は、全ての省庁の予算を事実上統括するなど仕事が多いため、最もひどい労働状況にあるのは想像に難くありません。

そんな中、子どもの頃から神童と持て囃され東大すら出た頭脳明晰・プライド激高のエリート官僚が、公僕として搾取されるがままに働くとは到底思えません。

「そこには何かしらのインセンティブがあるはず」と常になめくじは考えていました。

高橋洋一チャンネルの動画

その答えを見つけたのは、経済学者であり元大蔵省(現財務省・金融庁)官僚の高橋洋一さんのチャンネルのある動画内です。

彼は財務省官僚の身でありながら、当時の竹中平蔵経済財政政策担当大臣のブレーンとなり財務省と対立しながら郵政民営化を進めた人間です。

チャンネルの動画や国会答弁などを聴けば、高橋さんの豊富な知識・頭の回転の速さ・癖のある性格などが理解できますので興味がある人は調べてみてください。

スマイルくん
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人柄的に多分かなり賛否が分かれるぞ

彼は第690回の動画でこう述べています。

「(日本国のバランスシートにおける出資金・貸付金というのが、どこに対するものなのかというと)はっきり言って天下り先なんだよ」

実際に財務省発表の最新B/Sを見ると、資産約724兆円には「出資金93.3兆円+貸付金123.2兆円=216.5兆円(約30%)」が確かに記載されています。

また別の見方をすると、現預金等と固定資産約246兆円を除く478兆円(66%)が何かしらの有価証券や債権であることが分かります。

試しに政府保有株式一覧から適当に(株)日本貿易保険を調べてみると、2018年に不正入札疑惑で経産省OB(要は天下り)の坂東社長が減棒処分、氏と懇意にしてた元顧問が逮捕されています。

天下りの胸糞悪い現実を知りたい方は、総務省が公開しているこちらの資料を参照ください。

なめくじ
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ま、そういうことです

高橋洋一さんが勤務していた頃と今の財務省は情勢は違うでしょうが、まあ恐らく裏の天下りスキームは健在なんだろうと推測できます。

先に出した不正疑惑は経産省筋ですが、この資金供給を統括しているのは財務省なので、経産省の高級官僚は財務省に頭が上がらないでしょうね。

天下り先が敗退官僚の受け皿となる

省庁の組織は民間企業同様に厳しいピラミッド構造になっているため、出世コースから敗退し窓際に追いやられる官僚が数多く発生します。

出世の望みが事実上途絶えた中で、霞ヶ関の激務に耐えられる官僚がどれほどいるでしょうか?

結局彼らの高い能力や実務経験を活かすという名目のもと、独立行政法人や民間企業に天下る訳です。

いわば天下りとは、高いポテンシャルを持ちながらもリスキーな生き方をして国家運営に寄与してきた官僚のセーフティネットであると言えます。

これらの流れはあくまでなめくじの妄想に過ぎませんが、大筋はまあ恐らく合っているだろうとは考えています。

参考:元官僚だけど質問ある?

天下りと増税

さて最後の話です。

天下りがあったとして、それがなぜ増税に結びつくのでしょうか?

理由は明白で、増税した方が財務省がコントロールできるお金が増えるからです。

増税するというのはつまり国家予算が増えるということです。

国家予算が増えればそれだけ天下り先への資金供給量が増え、元官僚の実入りが良くなったり、より多くの官僚が天下れるようになります。

しかし国債を乱発して通貨安=インフレに寄り過ぎると、せっかくの天下り給料が薄まってしまいます。

また少なくとも”自分たちがリタイアするまでは”国が破綻してしまっては困るので、過剰な国債発行で日本の財政的信頼が落ちるのを嫌うのでしょう。

結局「PB黒字で国家予算の安定性・持続性を確保しつつ増税」というのが彼らの正義であり、ゴール地点となる訳です。

おそらく官僚の一人一人はここまで正確に自分たちの行動原理を分析していないし、する暇も無いでしょう。

ただ財務省全体を俯瞰すると、まるで群体のように意思を持って増税方向に動いているように感じます。

政治家との利益按分

ついでに言えば財務省官僚と政治家はおそらく密接に繋がっており、国家予算という利益を「よしなに」といった感じで按分しているでしょう。

財務省からキックバックを受けるために政治家が何かしらの法的ムーブメントを起こし、財務省が暗躍しやすいように制度を整備する。

色々調べていくと、そんな共生関係が見え隠れしてしまいますね。

岸田政権と財務省

蛇足ですが岸田政権についても解説しておきます。

現総理大臣の岸田文雄さんは、通産省官僚から議員となった岸田文武さんを父に持ち、出馬から連続当選し続けているエリート中のエリートです。

彼は政治家人生当初から父とともに宏池(こうち)会という派閥に所属していますが、宏池会は大蔵省(現財務省)出身で日本を高度経済成長に導いた池田勇人が結成しています。

スマイルくん
スマイルくん

要はガチガチの財務省系派閥や

そして岸田さんは自民党の慣例をやぶり、総理大臣として在職しながら宏池会のトップとしても君臨し続けています。

つまり岸田さんは基本的に財務省の味方をせざるを得ない立場であり、政治を知っている人間からは岸田政権が誕生した時点で増税路線は確定と見られていました。

よって衆参選挙を制圧した岸田政権が増税方向に動き続けるのは、政治力学的には”当たり前”と言えます。

なめくじ
なめくじ

こんな事情なんて投票する大多数の人は知らないですよね…

アベノミクスはどうだったのか

賛否両論吹き荒れるアベノミクスですが、結果は残念ながら不十分だったと言わざるを得ないでしょう。

①金融緩和、②積極財政、③成長戦略(規制緩和)という3本の矢は、①②こそまともに放てたものの、最も重要だった③の矢は官僚や族議員等の抵抗勢力に遭い骨抜きにされました。

結局のところ、安倍氏という歴代最強の総理大臣であっても従来通りの権益構造は壊せなかった訳です。

なめくじ
なめくじ

交渉のため飲み込んだ増税で求心力が落ち、③をまともに撃てませんでした

岸田政権は諦めて財務省を味方に付けるルートを模索しているようですが、なめくじには明るい未来は見えないのが正直なところです。

最後に

ここまで読んでいただいて何ですが、記事後半は単なる陰謀論になっているので決して信用しないでください。

なめくじには、政治と財務省の闇を暴いて世の中を良くしたいなんて考えは全くありません。

この影の部分もまた日本を構成する大切な歯車の一つだからです。

今の財務省の構造や政治形態を壊すのは、日本が進化する可能性もありますが中世国家に転落するリスクも孕んでいます。

言い換えるならば、天下り構造は現状の日本をなんとか維持するための隠れコストなのです。

記事を作成したのは「財務省が頑なに増税したがる理由を、筋道通して説明できるようになったから」というだけです。

スマイルくん
スマイルくん

要は自己満足やな

もし世の中を良くしたいと思うなら、インフルエンサーとなり社会を扇動するか、ルールメイカー側(政治家、官僚)になりましょうね。

そうでなければ、与えられたルールと箱庭の中で人生を成功できるように一緒に努力していきましょう。

なめくじ
なめくじ

では次の記事でお会いしましょう!

スマイルくん
スマイルくん

またな

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