2022年7月10日に第26回参議院選挙(参院選)が行われます。
皆さんのお手元にも管轄自治体から選挙ハガキが届き始めている頃ではないでしょうか。
さて、本記事では政治や選挙にはあまり詳しく無い人に向けて、参院選や選挙についての基礎知識をお届けしようと思います。
ぜひ基礎知識を身に付けて、しっかりと考えた上で選挙に参加してみてくださいね。
結論
- 第26回参院選は2022年7月10日(日)に投開票
- 参院選でも有名政治家がそれなりに出馬する
- しっかり政党ごとの違いも理解しておきましょう
2022年夏の参議院選挙(参院選)について
2022年夏に行われる大規模選挙は第26回参議院選挙(参院選)と呼ばれます。
参院選は3年に1回だから、初回からすでに75年が経過している
日程
第26回参院選の日程は以下の通りです。
- 公示日:2022年6月22日(水)
- 投票日:同年7月10日(日)7:00〜20:00(※)
- 期日前投票:同年6月23日(木)〜7月9日 8:30〜20:00(※)開票日:同年7月10日(日)
- ※投票所によって異なる場合あり
田舎や過疎地域は投票時間が短いところもあるので注意しましょう
持ち物
投票に必要な持ち物は基本的に「投票案内はがきのみ」です。
投票所
投票所はお住まいの自治体から郵送される「投票案内はがき」を参照してください。
住所に応じた投票所が定められていますので、当日はそちらに投票に向かってください。
なお理由があって当日に指定の投票所に行けない場合は期日前投票をするか、事前に「不在者投票請求」をする必要があります。
当日になって「違うところで投票したい」って言い出しても無理や
なお第26回参院選では新型コロナウイルス感染症で投票所に行けない人用に、特別な投票方法を選択することが可能です。
参議院選挙について
さて、参院選全体についての基礎知識を整理してみましょう。
参議院とは
日本の国会(立法府)は衆議院と参議院で構成されています。
しかしその両院は一堂に会して審議・議論を行っている訳ではありません。
それぞれが同じ法案に対して別で審議を行い、それぞれが妥当と思われる議決をします。
衆議院リーグと参議院リーグでそれぞれ働いているイメージでOKです
法案が成立するためには原則は両院の議決が同じである必要がありますが、「片方は賛成で片方は反対」というように異なる議決となる場合もあり得ます。
その際は両院協議会という代表者(10名ずつ)同士の話し合いが持たれ、法案への最終決定が行われます。
その話合いでも両院で意見が分裂した場合は、衆議院の優越によって衆議院有利の議決が為されます。
要は衆議院はパワープレイができる訳やな
その代わり衆議院議員は参議院よりタフな議員生活を送っています
なぜ参議院があるのか
衆議院があるのになぜ参議院があるのでしょうか?
なぜ両院制になったかの答えは歴史の流れにありますが、そこらへんは自分で調べてください。
さて必要性という意味においては「衆議院のブレーキ役」に他なりません。
衆議院は任期が4年、そして解散時期によっては1ヶ月なんてこともあり得ます。
対して参議院は解散が無く、衆議院よりも長い6年の任期となります。
よって参議院議員は、衆議院議員より保身や目先の利益に飛びつきにくい仕組みになっています。
つまり衆議院が人気取りだったり保身のための悪法を通そうとしても、参議院でブロックできるということです。
このように任期の仕組みが違うからこそ、それぞれの所属議員は異なる視点で法案をチェックできるようになっています。
まあ衆議院はパワープレイで法案通せるけどな(2回目)
止めなさいって
参院選で変わること
参議院は3年ごとに選挙が行われます。
つまり1回の選挙で所属議員の半数が入れ替わる可能性があるということです。
残りの半数は任期が残っているから選挙対象ではない
また衆議院と違って、選挙区+比例代表+特別枠で参議院議席が選出されます。
ただし比例代表は衆議院とちょっと仕組みが違います
選挙区
選挙区は一番イメージしやすい投票のスタイルです。
それぞれの選挙ブロックにおいて誰が最も得票したかで、選出される議員が決定されます。
衆議院選挙と違って参議院選挙では重複立候補ができませんので、惜敗率はまったく関係ありません。
1票差だろうが1万票差だろうが、負ければ同じ敗残兵となります。
厳しいがこれが参議院の選挙区や
比例代表
まず衆議院の比例代表をおさらいしますが、これは拘束名簿式と呼ばれ各党への投票数を基に党ごとの議席が配分されます。
そして仮に議席が3つ配分されたら、党の名簿順に第3位の候補者までが当選するというような仕組みとなっています。
名簿の候補者順は党が好きなように決められます
基本は落選されると困る大物順に並ぶと思ってOKや
対して参議院では非拘束名簿式を採用しています。
こちらの比例代表制度では、有権者は「党名」でも「候補者名」でも投票することができます。
各党の獲得票は「党名+所属の候補者名」で決められ、まずその数に従って議席が配分されます。
各党の議席が決まると、その名簿の中で最も得票数の多い候補者から当選していく仕組みです。
有権者からすると名簿に載ってるだけのよく分からない候補者ではなく、直接投票したい候補者に投票できる利点があります。
反面、当選するかどうかが知名度に依存しやすくなる影響で、議員能力の無いタレント議員などが選出されやすくなるデメリットがあります。
特定枠
比例代表の中の例外制度として前回の参院選から導入されたのが特定枠です。
これは本来、非拘束名簿式であるはずの参院選比例代表に拘束式の要素を加えたものです。
つまり予め届出をした特定枠の候補者は、優先的に党の比例代表として選出されることになります。
これ意味不明な制度ですよね
まあ完全に大人の事情でできた制度や
ちなみにれいわ新選組代表の山本太郎さんが、前回の参院選でがっつり得票したのに落選したのはこの特定枠の仕組みが原因です。
ねじれるとややこしくなる
2022年現在では衆議院・参議院ともに自民・公明党が与党かつ多数派となっています。
ここからもし、参議院選挙で与党が過半数を取れなかった場合は「ねじれ国会」と呼ばれる状態となります。
ねじれ国会になると衆議院で可決された与党寄りの法案を、参議院で数に物を言わせて打ち落とすことが可能になります。
この状況は非常にややこしいものとなります。
例えば予算案など大切な法案ほど与党と野党では考え方が対立します。
そこで一緒だったら「自民党のままでいいじゃん」って思われますからね
衆議院で可決されたけど参議院で否決されて衆議院に法案が逆戻り、なんてことが続くと国会審議が滞ります。
要はねじれ国会が起きると政策が硬直して何もできなくなるという、日本にとって多大なダメージを負う状況になります。
コロナ対策でこれが起きたらホンマに最悪や
今回候補予定の有名政治家
さて興味のあるところで、政治に興味が無い人でも知っていたり名前は聞いたことのある有名政治家(一部敬称略)をまとめていきます。
執筆現在ではまだ公示されていないので、”候補予定”と思ってください
なお”一般向けに有名”というくくりですので、必ずしも当選回数や実績だけで抽出してる訳ではないことをご理解ください。
万一落選すると良くも悪くも政界が大盛り上がりするレベルの人たちや
蓮舫(立憲民主党)
多分だいたいの人はご存じ、蓮舫(れんほう)さんです。
かつては襟立てジャケット姿がトレードマークで、「2位じゃだめなんでしょうか」という発言を国民に擦られまくりました。
グラビアアイドル・タレントを経て政界入りし、民主党や民進党の代表含む重要ポストを歴任してきた大物政治家の1人です。
歯切れの良い物言いや激情型の国会討論に定評があります。
ちなみに”蓮舫”は芸名由来の登録名で、現在の本名は「斎藤 蓮舫」です
野球で言えば登録名「イチロー」みたいなもんやな
山本 太郎(れいわ新選組)
山本太郎さんもご存じの方は多い政治家です。
やはり芸能界でタレントや俳優として活躍後に政界入り、自身で政党を立ち上げながらゆっくり、しかし確実に勢力を伸ばしています。
ゆっくりって言っても政界に無縁だったことを考えると順風満帆です
センセーショナルな街頭演説や政界での常識破りの立ち回りが特徴の政治家で、好き嫌いははっきりと分かれるでしょう。
同じ政治家からも物議を醸されまくっている
三原 じゅん子(自由民主党)
やはり元芸能界から政界入りした三原じゅん子さんも有名でしょう。
現在60歳以上の世代では、TVでの活躍(女優など)を見ていた人も多いはずです。
それ以下の世代は当時を知らないので、政治家にしか見えませんけどね
それはもう時代の流れだからしょうがない
自由民主党や内閣において重要ポストを歴任しており、もはや単なる色モノと言わせない確かなキャリアを積んでいます。
ややタカ派、保守本流といかにも自民党が似合う政治家です。
森 ゆうこ(立憲民主党)
自由党、民主党などいくつもの党を渡り歩き、現在は立憲民主党に席を置いています。
当選3回のベテラン議員ですが、国会での演説や答弁の内容を批判されるなどアグレッシブな行動が問題視されることも多くあります。
国会質問での与党への詰め寄りが一定の評価を受ける向きもあります。
非常に賛否が分かれる政治家ですね
問題児と言えば問題児やな
福山 哲郎(立憲民主党)
帰化人ですので、ネット上では元の名前である陳 哲郎で親しまれています。
本人は明言してないですが証拠的にはほぼ確定です
民主党からの流れを汲む非常に立憲民主党らしい政治家であり、自民党への対向軸としてすでに4期を務め上げている大ベテランです。
党の顔としてメディアやTwitterのやり取りを注目されることもしばしばあります。
そしてちょいちょい炎上する
辻本 清美(立憲民主党)
立憲民主党ばかりで申し訳ありませんが、もう1人エントリーです。
ちなみになめくじは立憲民主党支持ではありません
磐石と思われた2021年衆院選にて、維新新人にまさかの敗戦を喫した辻本さんが参院選に登場します。
2003年に秘書給与流用事件で逮捕された前歴や、関西生コン事件の逮捕者との関係性などグレーな側面を持っています。
逆に他党の重鎮とも親しいなど、まさに清濁併せ吞んだ政治家らしい政治家と言えます。
本人のコミュ力が異常に高いんだろうと噂されています
お膝元での敗戦から1年弱で参院選への鞍替え出馬となりますが、ここで万一落選した場合は政治家生命が終わりに近づきます。
背水の陣で臨む厳しい参院選になりそうです。
政党を整理しておこう
最後に、各党の政策方向や特徴についておおまかに確認しておきましょう。
自由民主党
公明党と連立し政権与党となっている日本最大政党です。
1955年の誕生以来、2回(合計5年)の野党時代があった以外は常に単独あるいは連立政権として与党であり続けています。
第26回参院選は、2021年総裁選にて岸田総裁が誕生して以来2回目の大規模選挙となります。
最も層が厚い政党であることから、良くも悪くもバラエティに富んだ政治家たちが所属しています。
個人個人が好む政策の振れ幅が激しい
根っこは共通するけど枝葉は各自の自由で、って感じですね
党内政治的な問題で、基本的に重要ポストに居座ったり権力を握るのはおじいちゃんばかりです。
ちなみに現在の岸田政権は安倍〜菅政治からの脱却を目指して、かなり社会主義寄りの政策スタンスを取っています。
これを安定と取るか茹でガエルと取るかは人それぞれ解釈が異なります。
Invest in Kishidaとか言ってる割には投資界隈から全力で嫌われている
でも国民からの支持率は高いんですよね。失点が少ないから
公明党
連立与党として自民党とは2003年からずっと長いお付き合いを続けています。
議席数は決して多くありませんが、組織票にて固い選挙戦略を立てることができます。
浮き沈みの激しい自民党の代わりに安牌議席を提供できることから、一定の存在感を示しています。
それがあるので、少数ながらしばしば与党の重要な政策方針決定に絡んできます。
キャスティングボードを握るとは、まさに公明党のことや
公明党に嫌われると政権の安定性が無くなるため、自民党はご機嫌伺いしてます
公明党はご存知の通り創価学会を支持母体とする政党であり、熱心な信者の投票によって確実に一定数の議席を確保することができます。
スタンスとしては自民党と同じですが、暴走しがちな自民党(の一部)政策のブレーキ役として動くことが多いです。
しかし今回の参院選では慎重だったはずの改憲論議にアクセルを踏みつつあります。
ちなみに党首の山口さんは任期13年目に突入して、共産党に次いで独裁状態です。
立憲民主党
民主党が紆余曲折(というか離合集散)を経て誕生したリベラル政党です。
前身である民主党の濃いエキスが集まった政党ですので、より政策が先鋭化しています。
最大野党として存在感を示すためには、多数派の支持を取りにいく自民党と対立軸を打ち出す必要があります。
結局「少数だけど声の大きい勢力」の代弁者として動かざるを得ないため、国民からの幅広い支持が得られにくい側面があります。
しかし多数派に支持される政策を打ち出すと「それ自民党でいいよね」と自滅するリスクがあるため、方向転換も出来ない難しい舵取りを要求されています。
立憲民主党がこれから数十年生き残る道筋が見えません
まあしばらくしたら名前変えて心機一転出直すでしょ
国民民主党
旧民主党からやや中道寄りの政治家が集まって立ち上げた政党です。
正確には立ち上がった後に1回新生しています
政界のFF14やな
よって民主党とは付いていますが、明確に立憲民主党と異なる党の方向性を打ち出しています。
代表は「タマ◯ン」の愛称で親しまれている玉木さん。
近年では、批判では無く提案する野党として勢力拡大を目指しています。
あまりの変貌ぶりに1年前ほどは「どうしたタマ◯ン」と戸惑われていましたが、今では呼び名が「玉木さん」に変わるほど支持が集まりつつあります。
ただし自民党政策に寄りすぎると他野党から「補完勢力」のレッテルを貼られるので、与党との距離感には注意したいところです。
日本維新の会
地域政党である大阪維新の会から派生した国政に関する政党です。
変な表現ですが、「大阪維新の会」の国政支部みたいな感じです
影響圏の大阪では圧倒的な支持を誇る維新の会ですが、国政進出は分厚い壁に阻まれ続けています。
しかし先の衆院選で最も勢力を拡大した格好となり、本格的な進出のために本参院選で”はずみ”をつけたいところです。
政党としては徹底的なコストカッターであり、赤字部門をガンガン民営化して優先順位の高いところにだけ予算を集中投下します。
例えば大阪では、子ども教育は手厚いが道路はボロボロや
建前とそれにかかるコストを省いて実利を取りにいく、大阪人と子育て世代に支持される政党です。
日本共産党
「特権階級を無くし、労働者が等しく幸せになろうよ」という共産主義を唱えている政党です。
しかしなぜか本家である中国共産党とは仲が悪いです。
共産党なのに意外と中国を批判し続けてるんですよね
政党として存在感を発揮するのは主に自衛隊明記反対と9条護憲、そして人権保護です。
先の衆院選では掟破りの野党共闘(主に立民と)にて全力で戦った結果、貴重な2議席を失いました。
ちなみに党代表である志位委員長はすでに任期22年目に突入しています。
自浄作用ゼロ
社会民主党
ある意味第26回参院選で最も注目を集める政党が社民党です。
なぜなら、77年の歴史を持つ老舗政党が本参院選で消滅する可能性があるからです。
政党として認められるためには一定の条件をクリアしなければいけませんが、残念ながら今の社民党には高いハードルです。
由緒正しい政党が、ただの政治団体という雑な存在に転落する歴史的場面に私たちは立ち会うかもしれません。
ぜひ注目したいところです。
政策の話が一切なくて草
だっていてもいなくても同じですもん
れいわ新選組
山本太郎さん率いるれいわ新選組は、先の衆院選に引き続き台風の目になる可能性大です。
ポピュリズム政党としてなりふり構わない姿勢と、党代表の演説の上手さやカリスマ性で今最も勢いのある政党の1つと言えます。
社会主義に近いスタンスですが、とにかく弱者救済を目的として動く彼らにとってレッテルは全く気にすることではありません。
しかし円安からくる物価高が日本を直撃している現在で、円安を加速させる財政出動や減税政策をどう有権者に説明をするのか。
今のコストプッシュインフレが進行すると助けたい弱者が死ぬジレンマ
単純な不景気対策だけで支持を得られるのか気になるところです
NHK党
2022年4月に8回目の変更を行って、やっと党名がすっきりしたNHK党です。
元々NHK関連の政策のみを取り上げるワンイシュー政党として誕生しましたが、現在は多岐に亘って政策を作る普通の政党になっています。
元NHK職員である立花代表が定期的に炎上商法をしながら知名度を上げ、党勢拡大を狙います。
先の衆院選では議席を全て失っているため、本参院選で存在感を発揮できなければ苦しい立ち位置に追いやられます。
色モノ政党としてはかなりの躍進をしてきましたが限界を迎えそうです
NHKの既得権益にメス入れて欲しいのは間違いないけどな
参政党
参政党に関しては事前情報が無いこともあって別記事でまとめています。
興味があればどうぞお読みください。
最後に
いかがだったでしょうか。
初心者向けということで、参院選に関する基礎知識を解説しました。
今まであまり政治を知らなかった人も興味を持てるように面白おかしく伝えましたが、特定の人物や団体を否定するものではありません。
モロ保身やん
そ、そんなことはないでsよ…
本記事を入り口にして興味を持って色々調べてもらえれば、もっと政治や選挙が面白くなります。
ぜひ楽しい選挙ライフを送ってくださいね。
ちなみに発展編として参院選の結果予測などについての記事も書いています。
興味があれば併せてお読みください。
では次の記事でお会いしましょう!
またな
コメント