節約を思い立った時によくやりがちな、電化製品のこまめなONOFFや食器洗い時の水出しっ放しを避ける行為。
これらは果たして本当の意味で節約になっているのでしょうか?
電化製品のコンセントを抜くのは時間の無駄
そんな感じの水道版で再検討を試みます
本記事ではそれらのうち「水道代」をテーマに、果たして細かく努力することの意味があるのかどうかを家族構成ごとに徹底検証します。
ぜひ水道代を節約する意味を考え直して、努力して節約すべきかその労力を他に割くべきかを判断してみてください。
場合によっては、その手間や時間分働いたほうが家計は楽になるかもしれませんよ。
なお本記事は「水資源の節約」という環境効果ではなく、あくまで「お金の節約」という趣旨で記載していますのでご理解ください。
結論
- 水道代を節約するなら影響の大きいお風呂関係
- 元々水の無駄遣いを自覚しているなら、改めると節約効果あり
- 常識的な水の使い方をしている家庭でできることは少ない
水道代の節約
水道代の節約と聞いて思い立つであろう主な施策は以下の通りです。
- シャワーヘッド使用などのお風呂関係
- 風呂の残り湯を洗濯に流用
- トイレで流す水量を調整
- キッチン(特に洗い物)の出しっ放しを避ける
- ウォーターサーバー導入での飲用水節約
家庭ごとで他にも方法論はあるでしょうが、本記事では一般的なこれら施策について検証していきます。
水道代はどうやって計算されるの?
そもそもの水道代の計算式をおおまかに理解しておきましょう。
水道代は「上水道使用料+下水道使用料」で計算され請求がきます。
そして水道というのはインフラの一つとして位置づけられているので、「ある程度はみんな公平に負担して維持しようね」という考え方で料金が設定されています。
つまり使った分だけ正比例で水道代が上がる訳ではなく、基本料金+比例料金というような計算式となっています。
水道局が最低限の収入を確保している形ですね
そら水道局が破綻したらその地域が全滅するからな
上水道使用量の平均はどれくらい?
さて、まずは1ヶ月あたり上水道使用量が世間的にはどれくらいなのかを知っておきましょう。
東京都水道局による令和2年度生活用水実態調査によると以下の通りです。
- 1人世帯:8.1m^3
- 2人世帯:14.9m^3
- 3人世帯:19.9m^3
- 4人世帯:23.1m^3
- 5人世帯:27.8m^3
- 6人世帯:34.1m^3
ガチの数字を知りたい場合は、自分の家の水道検針票を確認しましょう
東京都23区の上水道使用料金
まずは東京都23区の上下水道使用料金を確認しましょう。
一般家庭で多い20mmの水道口径で考えると、1ヶ月あたり上水道使用料金は以下の通りになります。
グラフを見ると、8m^3までは料金がほぼ変わらないことが分かります。
そして8m^3以降はやや緩やかな比例関係にあることも理解できますね。
さて8m^3以降から50m^3までの比例部分に対し近似式を求めると、その傾きは約284となります。
つまり1m^3=1,000L=¥284となり、1L=¥0.284として扱うことができます。
水道局HPでは1L=¥0.24と概算していますので大体合ってますね
大阪市の上水道使用料金
次に大阪市の上下水道使用料金も見ておきましょう。
東京都23区と同様に10m^3までは料金はほぼ変わりません。
そして10^3m以降は東京都23区よりも更にゆるやかな比例関係にあります。
東京都23区と同条件とするために8〜50m^3までの比例部分の近似式を求めると、その傾きは約213となります。
つまり1m^3=1,000L=¥213となり、1L=¥0.213として扱うことができます。
とりあえず該当者が多そうな東京都23区と大阪市を取り上げました
全部の自治体で計算しだすとキリが無いからな
水の節約効果は具体的に何円節約できるのか?
改めて水節約のためにできる主な施策を振り返りましょう。
- シャワーヘッド使用などのお風呂関係
- 風呂の残り湯を洗濯に流用
- トイレで流す水量を調整
- キッチン(特に洗い物)の出しっ放しを避ける
- ウォーターサーバー導入での飲用水節約
そして東京都23区では1L=¥0.284、大阪市では1L=¥0.213ということが分かっています。
これらを1個ずつ検証します
①シャワーヘッド使用などのお風呂関係
まずは節約効果が高そうなお風呂関係を考えてみます。
お風呂関係では更に、⑴シャワーヘッドでの節水と⑵こまめな蛇口の開け閉め、⑶そもそもシャワーで済ませるという方法が考えられます。
⑴シャワーヘッドでの節水
節水専用シャワーヘッドを使うと、大雑把に15〜50%程度の節水効果が期待できます。
シャワーの使用時間は人によるでしょうが、5分〜最大15分としておきます。
なめくじはいつも水出しっ放しで10分程度です
シャワーによる水使用量は、東京都水道局のデータを流用して12L/分とします。
そして節約効果の算出には前出の図でいう比例部分を用います。
1人世帯以外は月8m^3以下は多分無理やしな
8m^3以下では料金がほぼ変わらないので節約効果はゼロです
東京都23区では最低条件(15%節水、5分)で¥2.6、最高条件(50%節水、15分)で¥25.6です。
対して大阪市では最低条件で¥1.9、最高条件で¥19.2です。
これら数字×世帯人数×30日(シャワーを1日1回として)というのがリアルな1月あたりの節約効果です。
2020年の調査では平均世帯人員は約2.5人ですので、2人もしくは3人世帯がボリュームゾーンと考えられます。
そこで敢えて最高条件を整えるとその節約効果は2人世帯で東京都23区の¥1,536、3人世帯で東京都23区の¥2,304となります。
シャワーヘッドを変えるだけの割には大きな節約効果が期待できると言えます。
実際にはガス料金も乗るから更に節約効果の期待値は上がるな
しかし水が弱いせいでシャワー時間が伸びると節約効果が減弱するかも
逆に「いつもシャワーを5分10分だけ」というような生活をしている場合は、残念ながらほぼ節約効果は見込めません。
⑵こまめな蛇口の開け閉め
こまめな蛇口の開け閉めは基本的にシャワー使用時の話となります。
そこで先述の計算式が流用できます。
こまめな蛇口の開け閉めによる節水効果は、通常を100%とすると20〜50%というところでしょうか。
自分の感覚的には20〜30%が限界で50%は無理やけどな
50%以上節約できそうならそもそも無駄に使いすぎです
⑴同様に最低条件と最高条件を設定すると、それぞれ1人あたり月¥76.8と¥766.8となります。
ただし冬場で蛇口を閉めると急速にシャワー温度が低下するのは多くの人が経験しますが、温まるまでの流水を捨てていたら節約効果は減弱します。
⑶そもそもシャワーで済ませる
毎日湯船に浸かっている家族が、全てシャワーのみに切り替えたらどれくらい節約できるでしょうか?
一般的な湯船サイズを前提に、必要容量を200Lとします。
また湯船に浸かったとしてもシャワーが無くなることはありませんので、シャワーに要する金額は計算しないこととします。
200Lにかかる上下水道料金は東京都23区では¥56.8、大阪市では¥42.6となります。
シャワーと同じで、現実にはさらにガス代がかかるぞ
これを1ヶ月=30日継続した場合は、東京都23区では¥1,704で大阪市では¥1,278となります。
これらの金額とお風呂の満足度を天秤にかけることになります
②風呂の残り湯を洗濯に流用
お風呂の残り湯を洗濯の初回濯ぎに使う家庭も多いのではないでしょうか。
全てを新しい水で使う場合と、風呂の残り湯を使う場合はどの程度の料金差が出るのでしょうか?
ドラム式ではそもそも使用水量が少なく、それに比例して節約効果も薄いので縦型洗濯機で考えてみます。
水の使用量はメーカー、型式、洗い方など多くの要素により変動しますので、乱暴ですが下記の通りで条件設定をします。
- 洗濯容量10kg(3〜4人家族向け)で1回100L、洗い1回すすぎ2回
一人暮らし用5kgの機種ならざっくり1回50Lや
風呂の残り湯は衛生管理上、2回目のすすぎに使うことは推奨されません。
よって洗い1回、すすぎ1回目の合計2回=200Lに使用するとします。
前述の通り、一般的な容量の風呂水量は200Lですので残り湯はそのまま使い切れます。
実際には無理でしょうけど甘めの計算をしてみます
つまり1日1回の洗濯としたら、①⑶の計算式が外挿できるため節約効果は東京都23区で¥1,704、大阪市で¥1,278となります。
1日2回以上洗濯する場合は水道からの取水が発生しますので、これ以上の節約効果は見込めません。
まとめると縦型洗濯機で残り湯を使用した際には、節約効果によって湯船に溜めた水にかかる料金をほぼ相殺できるということになります。
ちなみにドラム式では縦型洗濯機の1/2〜1/3程度の水量なので、節水効果もこの金額の1/2〜1/3となります。
③トイレで流す水量を調整
トイレでの節約効果も考えてみましょう。
現在はトイレ製造技術の進化により、大で3.8L、小で3.0Lまで水使用量が減っています。
よって大1回流しを小1回流しに切り替えた時の節水効果は東京都23区で¥0.23、大阪市で¥0.17となります。
仮に4人家族で毎日1回大便排泄を頑張って小で流したとしても1ヶ月あたり¥20.4〜27.6しか変わりません。
気にするだけ時間の無駄やな
2022年現在で買い替え期にきているであろう便器でも大で8〜10Lの使用量ですので、大きく見積もっても1ヶ月¥100も節約できれば良い方でしょう。
また1回あたりの水使用量は一応ユーザー側で調整可能ですが、止めておくべきでしょう。
ただでさえトイレメーカーの努力で限界ギリギリまで水使用量を減らしています。
ここから1ヶ月あたり数十円程度の削減を狙って無茶してトイレ詰まりなどを起こせば、1発で数千円〜1万円以上が修理費で飛びます。
結論としては「トイレで節約は無理」ということです
④キッチン(特に洗い物)の出しっ放しを避ける
食器を手洗いしている家庭では、水の出しっ放しを避ければ節約効果もそれなりにありそうです。
実際には、どうなんでしょうか?
パナソニックが2015に行ったアンケートでは、食器洗いに費やす時間は1回あたり平均19.4分だったそうです。
飲食店のキッチンかな?
まあ大家族の人とかも含まれているでしょうから…
食器洗いを1日2回、洗い桶などを駆使して水の出しっ放しを避けて50%の節水が成功したとします。
東京都水道局によれば食器洗いでの水使用(出しっ放し)は1分あたり12Lです。
節約効果は19.4分×12L×2回×30日×0.5×水道料金で計算でき、結果は東京都23区で1ヶ月あたり¥1,983、同大阪市で¥1,488となります。
正直手洗いでも5分で済むと思うので、実際にはこの1/4程度の金額です
ちなみに食洗機を使用している家庭ではそもそもの洗い物に必要な水量が少ないので、細かな蛇口の開け閉めは時間と手間の無駄です。
2人暮らしのウチで、前洗いの1〜2分程度や
⑤ウォーターサーバー導入での飲用水節約
一応ウォーターサーバーが節約できるかも確認しましょう。
ランニングコスト最安値を謳っているCosmoWaterさんで、12Lあたり¥2,052つまり1L=¥171となります。
ウォーターサーバー会社はギリギリの値段帯でシノギを削っていますので、どこの会社を選ぼうが似たような料金が発生します。
対して水道料金を改めて確認すると、東京都23区で1L=¥0.284で大阪市で1L=¥0.213です。
以上です。
人件費とか会社の儲けとかがっつり乗ってるから当然です
インフラを担う水道局とは事業のスタートラインが違うのよ
最後に
いかがだったでしょうか。
内容をまとめると、節約に一定レベルの効果がありそうなのはお風呂関係の一部(節水シャワーヘッドの導入、残り湯の洗濯使用)です。
またシャワーを長時間使っていたり食器洗いの時間が長い人は、こまめな蛇口の開け閉めにて月最大¥1,000程度の節約が見込めるでしょう。
要は明らか無駄遣いの人には、ある程度節約効果が見込めるってことです
んなもん当たり前やん…
個人的な感想を言えば、常識的な範囲内で水を使用している家庭では「節水シャワーヘッドの導入以外やるだけ時間と手間の無駄」という結論です。
本記事ではそれなりの精度で節約効果を数字で算出していますので、自分に落とし込んで節水する価値があるか判断してみてくださいね。
- 水道代を節約するなら影響の大きいお風呂関係
- 元々水の無駄遣いを自覚しているなら、改めると節約効果あり
- 常識的な水の使い方をしている家庭でできることは少ない
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