賃貸物件に住んでいるあなたはどうやって家賃を考えて決めましたか?
きっと、SUUMOやアットホームの賃貸情報以外にも色々な賃貸情報サイトやブログ記事を読んだのではないでしょうか。
その時に必ずどこかで、『家賃は収入の1/3が理想』という内容を目にしたと思います。
残念ながらその情報に従って賃貸物件を決めるとあなたの生活が苦しくなっていく未来が待っています。
なぜ一般に言われる『1/3ルール』が誤りであるか、そしてあなたにとって本当に適正な家賃がいくらなのかをこれから一緒に考えていきましょう。
本記事を読めば、「毎月の家賃が苦しいけど引っ越し費用が無くて八方塞がり」という未来を回避できるようになります。
ぜひ最後までお付き合いください。
家賃は収入の1/3が理想って何なの?

賃貸物件や、賃貸に関して情報集めをすると必ず目にする家賃の目安のことを指します。
ちなみに収入は『額面』ではなく『手取り』として解釈しましょう。月収20万円の方なら手取りである約16万円ですね
家賃は収入の1/3が理想説は調べた限りでは、いつから言われ始めたのか定かではありません。
おそらく、どこかの時代での賃貸業界での定説や売り文句が都市伝説のように継承されているのだと思います。
少なくとも私の経験上、15年前からすでに”そういう昔から言われている目安がある”ことになっていました。
さて、ここであなたに質問です。
時代や経済状況が変わっても1/3という割合ルールが正しく機能すると思いますか??
こういう聞かれ方をされたらきっとあなたはNoと答えますよね。
そもそも割合ルール自体がおかしいのですが、100歩譲って昔(多分高度経済成長〜バブル期)は正解だったとしましょう。
その当時の人は、現代のような「非正規雇用が増え・適正なインフレが起きず・可処分所得は下がってすらいる状況」を想定していたでしょうか。
断言しますが絶対に考えていません。
どんな高名な経済学者でも今の状況は想定できていなかったでしょうね。
経済状況が大きく変わっているのに1/3ルールがいつまでも適正と考えること自体、よくよく考えるとおかしいことに気づけると思います。
家賃以外にも固定費はある

家賃が毎月定額を支払う必要のある固定費であることはご存知でしょう。
しかし固定費は家賃以外にも多く存在します。
例えば月収20万円のあなたが1/3ルールを下回る、家賃が月5万円の物件に住んだとしましょう。
もし、あなたが社会情勢の変化や自身の転職を機に月収が15万円となってしまったらどうでしょう。
月収15万円の手取りは約12万円です。
月5万円の家賃は1/3(33%)どころか手取り収入のうち41%もの固定費になってしまいます。
この差額約8%(1.6万円))を他の出費の節約など賄えば耐えられますが、先に言った通り固定費というのは家賃以外にも多く存在します。
これら固定費は「収入が3/4になったから支払いも3/4に…」なんてことはできません。
固定費というのは値段が固定されているから固定費なんです。
「そうなったら引っ越せばいいじゃない」との声も聞こえそうですが、一人暮らしであっても諸々込みの引っ越し費用は30-50万円以上です。
その時点での貯金額<引っ越し費用であった場合、いわゆる”詰んだ状態”になります。
家賃の目安はどれくらいが適正??

じゃあ家賃の適正金額は収入のうちいくらくらいなのでしょうか。
実はそんな簡単な法則は存在しません。
ここまで引っ張っておいてそれかよって感じですね笑
安心してください。
適正な家賃の計算方法を今から順に説明していきます。
今も賃貸で暮らしている方(一人暮らし、同棲、家族)
まず大前提として考えて欲しいのは以下の計算です。
貯金というのは生活の余剰資金、ゆとりと呼んでもいいかもしれません。
貯金があれば不測の事態にもしばらくは耐えられますので、せめて貯金を少しずつでも生み出せる収支にしたいですね。
支払い総額というのは家賃とその他に大雑把に分けられます。
「その他ってなんじゃい」ってお思いかもしれませんが、ややこしいことはありません。
現在のあなたの「月の支払い合計ー現在の家賃」です。
同じ生活レベルを維持しようとすると家賃以外の部分はほとんど変わりません。
よって現在の生活から算出できちゃうんですね。
その他の支払い総額が判明したら、次は単位時間あたりの希望貯金額を考えましょう。
単位時間を決めるのがややこしいですが、1人暮らしであればとりあえず2年間で考えたら大丈夫です。
これは賃貸の契約更新がだいたい2年間が多いことや2年程度はあなたの生活が大きく変わらないことを前提としています。
そして2年後には引っ越しで50万円いるかもしれないと考えたら50万円÷24ヶ月で月に最低2万円の貯金が必要と導き出せる訳です。
さて、貯金額も出せたら後は小学生の算数です。
計算すればこれからのあなたに適正な家賃が出てきます。
きっとあなたが思うより低い数字が出てきますがびっくりしないでくださいね。
今は実家暮らしをしている方
過去に一人暮らしをした経験があって、おおまかに1ヶ月の支出額を把握できている場合はその金額を使って計算してみてください。
今まで実家暮らしをしていて、自分の1ヶ月の生活費がどの程度必要なのかが分からない方は少し考え方が難しくなります。
とりあえずこういう時は総務省が出している家計調査報告〔家計収支編〕を参考にしましょう。

例えば単身者(一人暮らし)であれば月の平均支出が15万円程度で、そのうち住居費が21,000円です。
つまり、家賃以外の支出総額は150,000円ー21,000円=129,000円であることがわかります。
あとは、あなたの希望貯金額と手取り収入を入れたらおおよその適正家賃が計算できます。
ただし、上で使った月の平均支出は都市部〜田舎のかなりばらけた数値を平均したものであることに注意してください。
明らかに今後の生活想定とズレている支出があれば修正して計算してくださいね。
貯金額を想定する際の注意事項

さて、適正な家賃を計算するために貯金額を考える必要があることは分かっていただけたと思います。
しかし、その貯金額を考える際に大事な注意事項があります。
本記事では例として引っ越し費用を想定して計算しましたが、これには「今のあなたの生活を守る」という観点が抜けています。
つまり、不測の事態に陥った時に耐えられるための余力=生活防衛資金を持っていない場合は、色々出費する使う前にまずそちらを貯めなければいけません。
仮に月に2万円ずつ貯金10ヶ月分で頭金20万円+月々2万円で車ローンを設定したとしましょう。
もしあなたが余力の貯金を持っていない場合に、ローンを組んだ後に収入が下がるイベント(※)が起きたとします。
※不景気による減給、失業、体調不良による休職など
基本的にローンの返済額は変わりませんので、すでにカツカツに設定してある生活設計から何としてでも2万円を捻出しなければいけません。
これがもし50万円でも100万円でも貯金を持っていた場合は、ローンを支払いながらも数ヶ月は何とか食べていけますね。
数ヶ月でも時間を稼げれば、その間に他の働き口を探したり体調不良を回復させたり副業を始めたりと手を打つことができます。
生活防衛資金というのはあなたの生活を担保するセーフティネットであり、大事なことがお分かりいただけたかと思います。
ちなみに上の例では月2万円の車ローンですので大したことのないように見えてしまいますが、今のコロナ禍で問題になっているサラリーマンの自己破産は実はこれの住宅バージョンです。
生活に余力が無いと幸せな人生から強制退場を喰らう危険性がありますので十分注意してください。
最後に

ここまで読んで頂きありがとうございます。
適正な家賃の算出方法を考えれば、家賃は手取りの1/3というのがどれだけ暴論であることかが分かると思います。
特に今のような経済的に不安定な状況では、リスクは高めに見積もって生活設計した方が後々泣きを見る危険性がグッと減ります。
これから賃貸物件を探す際には、ぜひ生活の余力を考えながら家賃を設定してみてください。