2023年中まで旧つみたてNISAでの投資を続けていて、新NISAに移行する予定の方は多いでしょう。

なめくじ夫婦もご多分に漏れず、です
しかし旧NISA分の扱いや売却時に税金がかかるのか、そのまま新NISAへスライド移行できるのかなど分からないことだらけではないでしょうか。
本記事ではそんな「旧つみたてNISAから新NISAへの移行」に関する情報を整理し、移行プランを考えていこうという内容になっています。
※新NISAの内容そのものを知りたい方は、こちらの記事をお読みください
新NISA開始までにあと約半年となり、関連する情報も出揃ってきました。
今のうちに知識・情報を整理し、今後の投資プランをしっかり練っていきましょう。
なお、本記事はすでに投資を開始している方向けなので、投資そのものの基礎知識の解説は省いていることをご了承ください。
結論
- 旧つみたてNISA保有商品は原則、売却する必要なし
- ただし新NISA枠を埋め切れない場合は乗り換えも検討
- 自身の資金余力を踏まえてケースバイケースで判断したい
旧つみたてNISAからの新NISAへの移行について
早速本題に入っていきましょう。
新NISAが始まる2024年1月時点での旧つみたてNISAの扱いと、利用者はどうすべきかをパターン別で解説します。
旧つみたてNISAはそのまま保有可能
金融庁HPによれば、「旧つみたてNISAで保有している商品は”購入時から”20年間非課税で保有可能」とのことです。
つまり本来通り20年間は非課税で保有できて、その間に生じた運用益も含め非課税で売却可能です。
また20年の運用が終了した時点で、従来の設計通り特定口座に移管されると思われます。
また新NISAと旧つみたてNISAの口座は別となるので、旧つみたてNISAを保有し続けたからといって新NISAの非課税枠が減ることもありません。
よって旧つみたてNISAはなんら問題なく保有可能と言えるでしょう。

ただし非課税期間終了後に新NISA枠へ移管は無理
新NISA用口座は自動設定される
新NISAの運用開始前に旧NISAを利用していた場合は、新NISA用の口座が自動設定されます。
つまり既利用者は、新たに口座申し込みをする必要がありません。

新NISA開始後に金融機関を変えたい場合は手続きが必要です
旧つみたてNISAを売却するメリットはある?
旧つみたてNISAの保有商品は20年以内であればいつでも非課税で売却できます。
しかし金融庁HPには「(前略)…保有している商品を売却する必要はありません」と記載されています。
実際に旧NISAでの保有商品を売却するメリットや売却を考えるパターンはあるのでしょうか?
とにかく現金が欲しいパターン
旧つみたてNISAをどこかで売却するパターンの一つ目は、よほどお金に困った時です。
NISAはいつでもすぐ現金化できる流動性の高さがメリットなので、現金が欲しい時には売却が有用でしょう。
ただし現金化する優先度は、あくまで「枠が復活する新NISA>復活しない旧つみたてNISA」です。
順番を間違えないようにしましょう。

このパターンは投資をする上で極力避けたい事態やな
新NISAを最速で埋めたいパターン
パターン二つ目は、新NISAの枠を最速で埋めて時間経過での複利効果を最大化させたい場合です。
バンガード社や多くの著名人が一括投資を推奨しているのはよく知られているところです。
よって新NISA枠を最速で埋めてリターンを最大化させたい、しかし手元のキャッシュが足りないから旧つみたてNISAを売却して補填するというパターンはあり得るでしょう。
ただし、「新NISA枠を最速で埋めて得られるメリット>旧NISAが生むはずだった複利効果」であるかを慎重に判断する必要があります。
超長期保有を考えているパターン
最後のパターンは20年を超えるような超長期保有を考えている場合です。
新NISAは旧NISAと違い非課税保有期間が無期限となっていますので、30〜40年スパンでの超長期保有メリットを見込んで一旦売却し、新NISAで再購入するのも選択肢の一つでしょう。
しかしこちらもやはり「新NISAへ乗り換えるメリット>旧NISAの複利効果」であるかを判断しなければいけません。
新NISAの枠1,800万円/人を生涯通して埋められない方が乗り換える分にはメリットしかありませんが、そうではない場合は要検討といったところです。

投資の仕方は千差万別なので、正解はその人の頭の中にしかないです
旧つみたてNISAを中断すべきかどうか
執筆時2023.6時点では、もう7月分までの旧つみたてNISA買付がほぼ終わっているでしょう。
残り8〜12月の5ヶ月分は、投資を中断して新NISAに向けて資金を貯めるべきでしょうか?
新NISA枠を埋め切る自信がある方
結論から言えば、おそらく旧NISAのつみたても継続すべきです。
新NISA枠を埋める自信があるというのは、投資用の資金余力が十分にあることに他なりません。
新には劣るとは言え旧NISAも非課税のボーナスステージですので、使えた筈の美味しい枠をわざわざ削る理由がありません。
多少新NISA枠の埋め方が遅くなろうが、基本的には旧NISA枠は出来る限り利用すべきでしょう。
新NISA枠を埋め切る自信がない方
一方で新NISA枠を埋められるかどうか怪しい方もいるでしょう。
例えば正社員+パート夫婦で住宅ローンや教育費の支払いなどもあり、今もこれからも月に2〜3万円程度の投資額であるような場合。
このケースでは夫婦2人分の新NISA枠=3,600万円を埋め切るのに100〜150年かかる計算となり、満額投資は現実的ではありません。
新NISA枠が無期限であるメリットを最大限活かすのであれば旧NISA商品を一旦売却し、その資金で有利な新NISA枠を少しでも埋めておくべきでしょう。

売却時の株価次第で高値掴みするリスクはありますが…
ちなみに夫婦2人分=3,600万円を仮に30年で埋めるとしたら月10万円、独身の方=1,800万円なら月5万円の投資が必要となります。
もし「新NISAで老後資金を確保」という目標を持つのであれば15〜20年で枠を埋めきりたいので、投資額がそれぞれ1.5〜2倍になるイメージです。

さすがに18歳以上の子どもの枠をどうするかは本人に任そう
他のインデックス投資などはどうすべきか
この問いに対して当然正解なんてものはありませんが、一つの考え方を提示しておきます。
それは「新NISA枠内で回転売買すること」です。
新NISAでの最大の特徴の一つである「売却時の非課税枠(簿価)復活」。
これは新NISAで購入した投資商品を任意のタイミングで売却すれば、非課税かつ平均購入単価(簿価)分の非課税枠が翌年に復活することを意味します。
つまり新NISAを限度いっぱいまで埋めて最終月などで一気に売却すれば、それまでの値上がり益が非課税で手に入りつつ、タイムラグ無く新たに新NISA枠を埋め始めることが可能となります。
ただし1年で360万円までしか投資できない関係上、売却後に再度満額を市場リスクに曝すまでのタイムラグが生じます。
よってそのタイムラグの間に”稲妻が輝く瞬間”が来た場合には、相対的損失となる可能性があります。
枠を広げることで得られる非課税メリットと、再投資中の値上がり益を逸失する可能性を天秤にかけて考えることになるでしょう。

ちなみにこの回転売買が過熱したら多分途中で金融庁に網をかけられます
この新NISAの回転売買=枠広げに注力したいのであれば他の投資は控えるべきでしょうし、選択しないのであれば投資余力を他の投資にしっかりと回し切るべきでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか。
本記事はある程度の長期に関する前提知識を有する方向けに記載しておりますので、分かりづらい部分があったかもしれません。
解釈に悩む部分があれば繰り返しお読みいただくか、Twitterにて直接ご連絡ください。
新NISA開始まで、残り半年程度になりました。
しっかりと必要な情報を整理し、投資プランとひいてはライフプランをアップデートしておきましょうね。

では次の記事でお会いしましょう!

またな
- 旧つみたてNISA保有商品は原則、売却する必要なし
- ただし新NISA枠を埋め切れない場合は乗り換えも検討
- 自身の資金余力を踏まえてケースバイケースで判断したい

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