ややこしすぎワラタ
文句は今までの官僚と政治家に言ってください
- iDeCoに加入するか悩んでいる
- iDeCoに加入して具体的にどれくらい節税できるか知りたい
近年加入者が増加傾向にあるiDeCo。
皆さんの身近な同僚や知り合いでも始める人が増えているのではないでしょうか?
なめくじの取引先の営業さんも今年になって始めたそうです
さてiDeCoは老後問題を解決するための第3の年金として、政府や各メディアが推奨している制度です。
事実、自助努力を必要とするこれからの日本では個人資産の準備は避けることができないでしょう。
しかしサラリーマンの数少ない節税対策とも言われるiDeCoは、具体的にはどれくらいの金額がお得なのでしょうか?
残念ながらその数字はどこを探そうが載っていません。
なぜなら、各個人の事情によって全く違うからです。
本記事では、敢えてその具体的な数字の答えを出す内容となっています。
だからややこしい税金計算がいっぱい出てくるぞ
分かり易くはしてますが、内容の理解が追いつかない場合はこっち系に強い知人やFPに相談してください
たたき台の情報としては間違いなく優秀なハズや
iDeCoは節税効果がある反面、数十年単位の資金拘束を伴う諸刃とも言える制度です。
iDeCoを活用したら具体的にいくら節税効果があり、それがデメリットに見合うリターンであるかどうか、ぜひ考えてみてください。
本内容を全て理解した上でiDeCoの加入を決めたのならば、老後になって後悔することは有りません。
ぜひ時間がある時に何回も見直しながら、ご自身の事情にあったシミュレーションをしてみてくださいね。
ちなみに本記事の内容は個人型確定拠出年金であって、企業型DCやDBの話では無いことに注意してください。
DCやDBとは企業単位での年金制度で、iDeCoとは別物です
これに入ってるか入ってないか分からん人はまず就業規則を確認しよう
また記事内容はサラリーマンの話に限定しているため、一部個人事業主やフリーランスの人には当てはまらない記載があります。
該当する人は自分で調べて確認するか、なめくじが個人事業主用で記事を作るのを待っててください。
結論
iDeCoとは
まずは知識のおさらいをしましょう。
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことです。
月々の掛金を支払い自分が運用することで、掛金+運用益を60歳以降に年金代わりに受け取ることができる制度です。
後述しますが、月々の年金じゃなく一括の「一時金」としても受け取れます
ここ3年(2019〜2022年)で総加入者は117万人増加しており、徐々に社会に認知・活用されつつあります。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットについても整理しておきましょう。
メリットに関しては以下の通りです。
- 運用益が期待できる
- 利息や運用益が非課税(通常20.315%が課税)
- 掛金が全額所得控除
- 受け取り金額に退職所得控除や公的年金等控除が適用
- 先取り貯金代わりに活用できる
iDeCoのメリットとして大きなインパクトがあるのは、②〜④の税制優遇です。
簡単に言えば、iDeCoの入り口部分と出口部分で節税できる訳です。
①だけなら投資先が自由な分iDeCo使わない方が良いまである
⑤については、手元にお金があると使っちゃう人には有用ですね
②の非課税部分について
通常であれば、利息や運用益には20.315%の配当課税が発生します。
これに対してはiDeCoでは非課税となりますが、受け取り方によっては別種の5.105%課税などが発生することがあります。
課税されたとしてもだいぶ有利やな
退職金額と受け取り方式によっては不利な場合もありますよ
③の所得控除効果について
所得税はke!sanのシミュで算出できます。
そして同結果で算出される「課税される所得金額」の税率を下の表でチェックしてください。(元の場所に戻る)

iDeCo掛金による節税効果は以下のように算出できます。
高年収の人ほど節税効果が高まる訳ですね
右側の控除額は無視していいぞ
iDeCoのデメリット
今度はiDeCoのデメリットも整理してみましょう。
- 掛金に上限額がある
- 60歳まで掛金を引き出せない
- 10年以上の加入が無いと受給開始年齢が上がる
- 手数料や維持費が発生する
- 退職金や年金の額次第では受け取り金に課税される可能性がある
①は税収上仕方が無いと言えますが、それよりも②や③での資金拘束されるデメリットは人によってはライフプランに大きな影響を与えます。
④の手数料や維持費は決して大きい額ではありませんが、安定性を求めた預金系商品では元本割れするリスクがあります。
そして本記事の最大テーマとなるのは「⑤受け取り金に課税される可能性がある」ことです。
税制優遇ってさっき言ったじゃん!!
退職金や年金がたっぷりある人に優遇するとは言っていません
以降ではこの課税について深掘りしていきます。
iDeCoで課税されるパターンと対策
さて、ここから本題である課税デメリットについて解説していきます。
税制優遇が最大のメリットであるiDeCoで課税されてしまっては意味がありません。
そんならiDeCo使わずに運用するわってなるからな
しっかりとデメリットを確認していきましょう。
ちなみにiDeCoの受け取り方式は原則、「年金」、「一時金」、「年金と一時金の組み合わせ」から選ぶことができます。
「年金」とは5〜20年の設定期間で分割受け取りする方法で、「一時金」は一括受け取りのことです。
「年金と一時金の組み合わせ」はその名の通り、ざっくり一時金でもらってから残額を分割で受け取る方法です。
金融機関や商品によっては終身(死ぬまで)年金を選べることもあります
そういう商品は平均寿命+最低数年は生きないと元取れないがな
以下では、それぞれの受け取り方について課税されるパターンと対策を解説していきます。
退職所得(退職金)で課税されるパターン
まずは退職所得で課税されるパターンです。
これは基本的に「一時金」を選択した時に発生するものです。
なぜなら、一時金と退職金は同じ退職所得控除の枠を使用するからです。
もし控除枠が最大1,500万円で退職金が1,200万円だとしたら、iDeCoで使える控除枠は残りの300万円となります。
300万円超えたらどうなんの?
超えた分に課税されます
(´・ω・`)くそげ
まずは退職所得への課税計算式を確認
さて税法上、退職所得への課税額は以下のように計算します。
まず最初に退職所得控除を求めます。
退職所得控除が求められたら、以下の課税退職所得を計算します。
最後に課税退職所得を用いて、以下の速算表で課税額を計算します。

ややこしすぎワラタ
文句は今までの官僚と政治家に言ってください
実際の課税額を知りたい場合は、簡単なKe!sanのシミュを使ってください。
課税されないギリギリを見極める
さて、計算式が分かれば対策というかギリギリを見極めることが可能になります。
つまり課税されない最大値に退職金+iDeCo一時金の合計額を合わせたら節税としては最適解となります。
仮に22歳〜65歳まで最大額¥23,000/月を拠出、退職時期を65歳とする会社員がいたとします。
43年間での合計掛金は約1,187万円、退職所得控除は2,410万円となります。
よって彼は差し引き1,223万円を上回る退職金を受け取った時点で課税が確定します。
実際には運用益が上乗せされるからもっと上限額は低くなるけどな
最適解を得ようとするならば、このような考え方となります。
会社規定で2,000万円の退職金が予想されるのであれば、iDeCo一時金に使える枠は残り410万円。
410万円を43年間で計算すると1月当たりの掛金上限額は約¥7,950で、それ以上拠出すると課税される。
税制優遇メリットのうち出口部分の旨味が無くなる訳ですね
ちなみに今の退職金の相場は大企業で2,500万円、中小企業で1,100万円だそうです。
iDeCo枠を同様に計算すると、前者はゼロで後者は約2.5万円です。
よって大企業勤めでは出口節税はできない、中小企業勤めでは最大限の恩恵を受けられるという結論に至ります。
後者の月2.3万円(最大拠出)では約593万円も節税できる計算です
大企業戦士くん…それでも750万円分多くもろてるしな
運用益について
さて後は具体的な運用益という最後の1ピースを埋めていきましょう。
iDeCoで選ぶ運用商品にはいくつか種類があります。
1つは元本確保型の定期預金や保険で、これらの運用益はほぼ無いものと思ってください。
なんなら手数料等で元本割れする
こちらは運用益を無視できるので、先ほどの課税シミュレーション通りとなります。
もう1つは株式やREITなどのいわゆるリスク商品です。
こちらはちゃんとした商品を選んで長期運用すれば、平均年率3〜8%程度の運用益が発生します。
投資は自己責任ですので、「知らんけど」と言っておきますね
これを先ほどの月2.3万円かつ43年でシミュレーションすると、運用益は5%想定で3,000万円近くのハイパフォーマンスを出します。
低く見積もって3%でも1,230万円となりますので、掛金と合わせるとiDeCoだけで控除限界まで行ってしまいます。
事実上、iDeCoの出口部分の旨味は無いものと考えたほうが良さそうです。
対策
対策は3つあります。
1つ目はiDeCo運用益+iDeCo掛金+退職金が控除上限を超えるようなら、そもそもiDeCoを活用しないこと。
ただし、これは入り口部分の税制優遇を捨てる選択になります。
入り口部分の節税効果はコチラ
2つ目は元本確保型の定期預金や保険を選択することです。
実質の元本は多少毀損するでしょうが、入り口部分の税制優遇を頂けるというメリットがあります。
3つ目は退職金受け取りまで5年以上空けるという裏技です。
可能なら一番お勧めです
これは「iDeCo一時金受け取り→5年以上経過→退職金受け取り」の順序でのみ可能な裏技です。
この場合には控除枠が両者で共有されず、iDeCoはiDeCoの加入年数に応じた控除を受けることができます。
これは退職金の5年ルールと呼ばれるものを利用しています。
脱税じゃないから安心してくれ
公的年金等(年金)で課税されるパターン
次に年金受け取りにして課税されるパターンを考えていきましょう。
iDeCoでの年金受け取りは公的年金等雑所得として扱われ、「公的年金等控除額」が以下の要素と共有されます。
そして公的年金等に発生する課税は以下の速算表を参考に算出できます。

確定申告をすれば配偶者控除などの他の控除も受けられるぞ
多くのサラリーマンは老齢基礎年金が満額受け取りになりますので、この時点で非課税となる60万円の枠を突破します。
そこに更に老齢厚生年金+iDeCo年金の収入に応じて課税されるイメージです。
基本的に年金で受け取る場合は課税は不可避と考えて良さそうです
この速算表は実によくできていて、iDeCo年金の調整で最高効率を出そうとしても年額で¥2,000〜¥3,000程度しかお得になりません。
シンプルに「年金が増える分だけ同じようにきっちり課税される」と考えてください。
課税とは違うが、1回受け取りごとにかかる¥440の手数料にも注意や
ちなみに令和2年度の平均年金受給額(基礎+厚生)は年額で約180万円となっています。
また先述した一時金受け取りの上限額についてですが、退職所得の課税額が195万円以下であれば税率5%となり年金税率5.105%を下回ります。
これを良しとするなら退職所得控除上限+195万円を最大枠として一時金受け取りを検討するのもありでしょう。
年金+一時金ではどうなる?
先に述べたように年金受け取り分はきっちり課税されると思ってください。
一時金に関しての考え方は最初に述べた通りです。
年金+一時金で節税効果を出せるのは、「退職金は多くないけど、合計すると控除額を超えちゃう」パターンです。
うーん、この条件に当てはまる人は多くなさそうです
ただし年金受け取りには1回当たり¥440の手数料が発生することも覚えておきましょう。
iDeCoの受け取り最適解
さて長くなりましたが、情報が出揃ったところで結論を出していきましょう。
iDeCoでの受け取り最適解を順にご提案します。
①運用益は要らなくて節税効果だけ欲しい
運用益が要らないとはつまり、超保守的な定期預金や保険商品を選択する場合です。
これらの商品は運用益はほぼ出ないし手数料で実質元本割れする
これは手元にお金があると使っちゃう人が、強制貯金装置としてiDeCoを活用するというケースが想定されます。
また投資運用への怖さがあり、リスクを取りたくない人にも向いています。
この場合は「退職所得控除 − 総掛金 – 退職金」限度まで一時金、溢れた金額は5年で分割受け取りが最適解です。
ただし可能であれば5年ルールを活用して控除を2回受けると、最適解中の最適解に進化します。
②運用益も節税効果も欲しい
欲しがりやさんですねえ
当たり前だろうが!
松井証券のeMaxis slim米国株式(S&P500)のような鉄板商品を選んだ場合は、長期投資だと運用益だけで控除額をオーバーします。
ですので運用益も節税効果も欲しい場合は、先の5年ルール活用一択です。
もしルールを活用できない場合は、課税所得金額や総掛金額によってはiDeCoを利用しないほうがお得かもしれません。
それでもiDeCoは検討したい場合は以下の要素を天秤にかけることになります。
iDeCo③節税効果は要らなくて運用益だけ欲しい
あまりいない気もしますが一応解説します。
iDeCoは運用益が非課税となりますが、出口部分で多くの人は課税されることになります。
よって課税率差15%程度と60歳以上までの資金拘束のデメリットを天秤にかけることとなります。
また大きなものではありませんが、維持管理コスト年間¥2,000+年金受け取りコスト年間¥5,280が発生することを覚えておきましょう。
ちなみに課税率が高くなる可能性があるため、一時金受け取りは無視しています。
2.3万円/月なら検討の余地ありですが、数千円クラスならやらないほうがいいです
④退職金だけで控除上限を突破する
こちらも②と考え方は同じです。
退職金+掛金+想定運用益で間違いなく課税が発生しますので、iDeCoを検討するのは所得水準が高い人限定でしょう。
まあ退職金が高い企業なら所得水準も高そうですけどね
資金拘束を考えると個人的には年収900万円以上は欲しいところ
⑤自分で投資するか迷っている
iDeCoで資金拘束されながら投資運用するか、特定口座で投資運用するか悩んでいる場合はどうでしょうか?
投資や税額は全て係数で計算できますので、月額2.3万円の拠出で考えてみます。
自分で投資運用した場合
2.3万円/月の積立を43年、3%運用とすると元利合計は約2417万円です。
そのうち運用益1230万円は課税されるので、実質元利合計は約2167万円となります。
iDeCo運用した場合
同条件で考えると間違いなく控除上限をオーバーしますので、節税効率から年金受け取りを選択します。
2417万円の全てに5.105%の課税が発生すると仮定すると、実質の受け取り総額は約2,294万円です。
控除の関係上、この課税額はあり得ないけどな
これは便宜上の計算なので、実際には受け取り総額は更に増えます
また入り口部分の節税額は全て投資に回せるため更に+α部分が生じます。
無理なく月2.3万円を拠出できる所得水準として、課税所得を600万円とします。
すると節税額は月に¥6,900となりこれを積立すると、実質元利合計は43年で約¥650万円となります。
iDeCoの掛金上限を考え、こちらには配当税分を引いています
結果、両者を合計するとiDeCo運用では受け取り総額が約2,944万円となります。
両者の比較
よって比較としては約2,944万円+資金拘束デメリットvs約2,294万円となります。
650万円差はさすがにデカいな
ちなみにこの650万円というのは43年間¥6,666/月を積み立て続けると実現します。
これは2.3万円の掛金を基準に考えると、年率29%という驚異的な運用効率となります。
資金拘束というデメリットを打ち消すには十分過ぎる成果ですね
以上の計算から、iDeCo運用した方が圧倒的にお得という結論が得られます。
これらの差額は運用利回りや課税所得を高くするほど大きくなり、総掛金額を低くするほど小さくなります。
ケースレポート
これほどややこしい話ですので、理解しやすいように最後にケースレポートを紹介します。
ケースレポートと言っても実在はしないがな
考察の仕方を見て、なんとなくやり方を掴んでいただければと思います。
- 30歳会社員既婚(パートナーは専業)、子ども無し
- 22歳から同会社に勤め続け、転職歴や転職予定無し
- 年収は700万円(課税所得は402万円)
- 65歳定年退職予定、退職金は1,000万円予定
- iDeCoへの支出可能額は1.5万円/月
- 入り口での節税効果分は全て貯蓄に回す
- 現在貯蓄は500万円程度あり、月の総支出額は30万円
このケースで老後資産形成のためiDeCoを活用すべきかを考えていきます。
まず貯蓄は生活費ベースで1年半分近くあり、1.5万円/月程度のiDeCo拠出は無理のない範囲と言えます。
もし1.5万円/月をiDeCoに支出する場合は、35年(退職とともに受取開始とする)の加入期間があります。
資産形成目的ですので、(やや厳しめ想定の)平均年率3%の運用益を狙いつつ商品を選択したとします。
シミュレーション結果から、退職時点でiDeCoの元利合計は1,112万円、運用益はそのうち482万円となります。
退職所得控除は2,410万円ですので、一時金受け取りにしても元利合計1,112万円+退職金1,000万円=2,112万円と下回ります。
よって退職金+一時金は非課税となるため、節税としては最高効率となります。
次に、入り口部分での節税効果を見ていきます。
課税所得は402万円ですので、所得税率20%となります。
よって節税効果としては1.5万円/月 × 30%=¥4,500/月、43年では約232万円となります。
運用益は非課税となるため、iDeCoを利用することで2,112万円+232万円=2,344万円の老後資産を準備できます。
対して1.5万円/月の掛金を全て同商品で自分で運用したとします。
同様に退職時点で元利合計は1,112万円ですが、配当税20%(便宜上)とすると税引後の資産は1,016万円となります。
ここに退職金1,000万円(同じく非課税)を合わせると合計2,016万円となります。
よって2,344万円+35年の資金拘束デメリットvs2,016万円としてiDeCoを利用するか検討することになります。
ちなみに同掛金をつみたてNISAで運用した場合は、35年経過時点で退職金含め2,112万円の老後資産を準備できる計算になります。
最後に
いかがだったでしょうか。
1回目で本記事の内容を理解できたのは、相当頭の回転が速いかすでに税金の知識やマネーリテラシーが一定以上高い場合だけです。
なめくじもかなり下調べして記事を作成していますので、最初は分からなくて当然です。
2回目、3回目と読み直して、そして内容が理解できたら今度はご自身の生活状況を当てはめてシミュレーションをしてみてください。
本記事の内容に沿ってシミュレーションをすれば、目論見が大きく外れることはありません。
今後の大切な未来、そして老後に向けてぜひしっかりとしたライフプランを立ててみてくださいね。
では次の記事でお会いしましょう!
またな!
SBI証券でiDeCoを始めたい人はこちらの記事もお読みください。
コメント